フロントホイールベアリングが壊れたセロー。大掛かりな作業になってきました。その3 [92'YAMAHA セロー3RW4(1KH)]
いよいよ巷では大変な作業と言われている、テーパーローラーベアリング本体をステムから抜いていきます。
まずベアリングとステムの間に頑丈な刃物みたいなものを叩き込んで、少しだけ隙間を作ります。
なにか適当なものがないかと探した結果、スクレイパーを使うことに。
ただ普通のスクレイパーでは叩くと柄が潰れてしまうのですが、こいつは刃がそのまま貫通してるのでお尻を叩けます。これでできた隙間に今度はマイナスドライバーを叩き込んで更に隙間を広げていきます。
ただ時間ばかりかかってなかなか抜けてきません。
そこでネットで見つけた方法を試すことに。
ベアリングのケージを壊してローラーを取り除き、インナーレースをむき出しにします。
ギアプーラーを用意。レースが少し抜けてるのがわかるでしょうか。これが味噌です。
最初はこの隙間にギアプーラーをかけようとしてました。ただそれだと左右にあるストッパーが邪魔をして、ギアプーラーが刺さりません。それで一度は諦めていたのですが、ネットで見たバイク屋さんの動画を見てやっと気づいたのです。
プーラーをレースの小さい方の首にかければいいじゃん。まず最初にインナーレースをここまで浮かせていないとストッパーに当たって無理ですが、プーラーがちゃんとかかりました。
あとは普通にプーラーを組み付けて
嘘みたいに簡単に抜けてるよ。
抜けたー。ただ最初に構造を考えずにドライバーを叩き込んだ際の無知ゆえの犠牲も大きかった。
最初はワッシャーでも入ってるのかなと思ったら、ここ段差があるんですねー。
新品のインナーレースを見ると、ダストシールのリングが作る段差分凹んでました。それを気づかずドライバーをガンガン叩き込んだせいで段差の部分がめくれちゃってます。これを直さないといけません。つまり最初の隙間を作る際、工具先端を段差まで入れないで5mm以上は叩き込まないこと、です。
インナーレースの段付きの内径が41mm。
潰れた段付きの外形を41mm以内までに収まるようにヤスリで削っていきます。大体39mmでした。
めくれが上面へ出ないように。
汚いしガタガタだけど受け面は出てるのでこれでいいでしょう。(というかやっちまったもんはどうにもならないし)
ブラストして脱脂して
缶スプレーで塗装。乾燥させます。
ホームセンターでベアリングレースの圧入ジグの材料を買ってきました。
このように組み合わせます。
サビにサビ転換塗料を塗ります。全塗装はまたの機会に。
フレームに打ち込むベアリングレースを用意します。
テーパーローラー側
アッパー側はオイルシールドライバーがぴったりでした。
おっと、その前にテーパーローラーレースの叩き出し用のくぼみを少しだけ大きくリューターで削ります。これで次回抜きやすくなるでしょう。俺はもうやれないけど、次のオーナーのためね。
亜鉛塗料で防錆。
アッパー側挿入完了。実はレースが薄すぎて傾いてしまい何度もやり直してます。
最後に叩いて底づき確認。
斜めになりやすいのでハンマーで叩きながら締め込んでいきます。
最後には古いアウターレースを当ててドンづきまで叩き込んで終了。
主を迎え入れるまでの防錆にグリスを塗っときました。
そろそろ終盤です。三叉にテーパーローラーベアリングを打ち込みます。ここ見てると、ベアリングの受け面に叩き出し用の穴開けても良くないか?。あるいは溝を彫るか。全然進歩ないよね。
ベアリングを当てて
圧入用の水道管をセット。全長はシャフトよりちょっと長めです。
なんとこの水道管、内径30mm、外径37mmと奇跡的にインナーレースにぴったりでした。これならベアリングのケージが潰れません。
こっちでも先に使った圧入工具が大活躍。
このようにセットしてナットを締めていくと
なんと何事も事故がなく入ってしまいました。うそー。
テーパーローラーベアリングにグリスをたっぷり塗り込みます。外からしかグリス塗れないのって構造欠陥じゃねえ?。この辺はボールを外してグリスを自由に塗れるボールベアリングのほうが正解のような気がするんじゃが。
さあ、いよいよ終盤も終盤です。
アッパーレースロア側にグリスを盛ってボールを22個並べてアッパーレースの上側を載せます。
三叉を差し込みダストカバーを被せてナットを締めて、ステアリングヘッドのオーバーホールが仮完了です。
外したベアリングレース。アッパーの上側。右上に腐食跡ありですがあとはきれいなもんです。
アッパーの下側(車体側)。奥側が少し波打ってます。
ロアのテーパーローラーベアリングのアウター。半周はサビ跡がありますが手で触ってもなめらかです。
でもあと半周はボコボコ。摩耗ではなくサビで腐食してます。
インナーも同様。(ケージを壊してローラーを撤去してます)。半周はきれいです。
あとの半周はサビで腐食。
ということでベアリング交換は必須だったわけです。乗らなくても痛むものは痛むという教訓でした。
あれ?なんか忘れてるような・・・。あ、ホイールベアリング・・・・・・・。
その4に続く
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