2017年ハイゼット車検準備。リアブレーキ周り点検。 [H9(97)年ダイハツハイゼットバンS110V]
今日は多少気温が高くなったので、インパネの電球交換は後回しにしてリアブレーキ周りを点検しました。
リアブレーキ全図。ダイハツの軽トラはほぼ共通。今回チェックのみで済んで欲しい。
まずは左後輪から。残り三輪に輪止めをしてリアのリジットアクスルをジャッキアップしてウマを掛けます。
センターキャップを外して
割りピンを抜き
キャッスルナットを回せる状態にします。
このナットは200Nmという強烈なトルクで締めないといけませんが、そこまで測ることができるトルクレンチはないので、ポンチマークをつけてここまで締め付けるということにします。
36mmのナットは体重をかけないと緩まないので、安全のためホイールを接地させた状態で緩めておきます。
インパクトでホイールナットを緩めてホイールを外します。
ナット、スプリングワッシャー、ワッシャーを抜きます。この時点でサイドブレーキを外します。
ドラムを引っ張ると抜けてきます。
大型車とは違い、ホイールボルトはドラムに圧入されてます。シューの削りカスが溜まってるのでガスマスクしてエアブロー。
こちらもエアブローしてからシューの厚さを測ります。ドラムブレーキはシューがドラムに食い込むので作用点であるピストン側が特に減りますので本来ここを測らないといけませんが。
一応均等に薄くなっている真ん中の厚さを測りましょう。
左後輪前側3.5mm(新品4mm)
左後輪後ろ側2.5mm(限度1mm)
どうやら後ろ側のシューが大きく減るようですね。
オイル漏れもなく問題なさそうなので、ドラムをかぶせてワッシャー、スプリングワッシャーを入れ
キャッスルナットを締められるだけ締めます。ポンチマーク同志を合わせたところが元の位置です。
体重をかけてここまで。これで多分200Nm(笑)。
割りピンは新品があったので交換。・・・しようとしたら入りません。
もとのピンは4.5mm。買ってこないといけないので
再使用。ここは後で交換できるので左側終了。
今度は右後輪。しまった、ナット緩める前に先にホイール外しちゃいました。
まあ、ウマかけてるから多分大丈夫。
サイドブレーキを外してもドラムが数センチしか抜けません。スプラインがかじったか?
バックパネルとの隙間をドライバーでこじったらやっと抜けました。もう一回ドラムを入れるとシューが引っかかって入りません。つまり隙間が足りずにブレーキシューを引きずってた?・・・。
こちらもエアブローのみ。グリスアップはホコリが固まって悪さをするためシュー交換時以外はしません。
黄色い矢印がシューの隙間を自動調節する仕組み。今回ドラムが抜けなかった原因です。あとで説明します。まず前側のシューを測定。
右側前側シューは左と同じく3.5mm。(新品4mm、限度1mm)
右側後ろ側シューセンターは2.8mm。
念のため測った、一番薄くなってた右側後ろのピストン側2.1mm。
まだ3時なのにもう日没。寒いー。
さて、先程出てきたブレーキシュー隙間の自動調整機構。
説明見てもよくわからん。サイドブレーキの拡張機構を利用してブレーキシューが減ってくると外へふくらませるようです。もうちょっと高級な車のドラムだとこのストラットがボルト・ナットになっていてサイドブレーキを引くことでボルトを緩める方に回転し全体が伸びることでシューを拡げるんですが。このアジャストレバーがその代わりみたいですね。
これが正規位置です。ラッチ同志が噛んでるのがわかると思います。
ところがさっきの写真だと上下が噛み合わずずっこけてます。ラッチが薄い上に横方向のガタが多いためラッチが噛まずにすれ違うんですね。(下のラッチが上のラッチの下に潜り込んでる)そのせいで上のラッチが歯3つ分ほど左へ出ています。結果シューが広がってしまいドラムに当たってた模様。
下のラッチをドライバーで下へ押すと上のラッチがスプリングに引かれてここまで移動しました。これが調整前の状態です。つまりシューとドラムが思い切り離れていてブレーキが利かない状態。
この状態でドラムを入れると当然すんなり入ります。そこでブレーキを数回踏むとシュー調整機構の2個のレバーがラッチを噛み合わせながらシューを拡げる方向へずれていき、シューがドラムに当たったところで適正位置でラッチ同志が噛み合い固定されます。スプリングに引かれてシューがドラムからわずかに離れるため、ドラムを引っ張ると今度はすんなり外れました。
上のラッチが飛び出した状態できれいに噛み合っています。これでブレーキシュー隙間自動調整完了。
ドラムを戻してナットをロック。
ジャッキダウン。
とりあえずあとは電球のチェックと交換、オイル漏れ対策のおむつをあてて車検準備完了です。
新に記事にするほどでもないので12月19日追作業を追記。
イエローハットで買ってきたT5の1.2W電球2個入り350円。
メーターパネルを外して交換。
はい、全部点きましたー。
パネルを元に戻すと、あれ?ラジオの低音調整のツマミが無い?
床に落ちてました。真っ二つに割れていてかけらも回収。接着したけど強度なさそう。
最後にサイドブレーキワイヤーの遊び調整。
13ノッチ(カチカチというラチェット音)あったのをマニュアル通り(6-10ノッチ)8ノッチに調整。ただしここで遊びを調整するのは軽四だけで、普通車はホイール側に調整機構があるのでそっちで調整しないと、レバーをもどしてもサイドブレーキが解除されなくなる恐れがあるそうです。
一応整備距離を。135102km。
1年ぶりに燃料入れたら(今年は長距離の親子旅行ばかりでエスティマの稼働率が高かったので)2kmぐらい燃費が悪くなってるのでこんなのでドーピング。
*ハイゼットの解説書にドラムブレーキの自動調整機構の解説がありました。暇な人はどうぞ。クリックすると拡大しますのでめくってください。3ページに分けてます。
うーん、どうもわかりにくいのでサイドブレーキの概念図書いてみました。
サイドブレーキを引くと左のトレーリングシューの上側に支点を持つシューレバーがストラットに邪魔されてトレーリングシューをドラムに押し付けます。と同時にストラットを右に押してその先にある、これまたリーディングシューの上側に支点を持ち、下側をラッチに固定されたアジャストレバーを右に押します。結果リーディングシューもドラムに押し付けられてサイドブレーキがかかるわけです。
そしてそのシステムを利用した隙間調整機構ですが、サイドブレーキを外したときにシューとドラムの隙間が過大な場合は、ブレーキを踏むと、上のピストンによってシューが下側を支点にして広がります。その際ストラットは左のシュー側にスプリングで引っ張られているため、ストラットと右のアジャスターとの間に隙間ができようとします。しかし右のアジャストレバーはストラットに引っかかっているため隙間分だけ時計回りに回り、ドラムとシューの隙間がなくなるまでギア部分がカチカチとラッチを乗り越えます。そのあとブレーキペダルを離しても角度の付いたラッチによってアジャストレバーは固定されているので、一度拡がったシューは調整前の位置へは戻りません。以上現物を見てやっと理解しました。
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ベアリングの締付け方法、間違っていませんか?
規定トルクで締付けた後、一旦緩めて再び軽く締付け、割りピンを通すのが正しい作業手順と思います。高トルクで締付けたままだとベアリング焼付けの恐れがあります。
by onji (2017-12-20 22:47)
onjiさんありがとうございます。
ご指摘の方法はハイエースなどに使われているテーパーローラーベアリングの締め付け方で、この車の場合は整備書を見るとバイクと同じラジアルボールベアリング使用のため、ドンづきまで締め付けてもベアリングに締め付け荷重はかからないため大丈夫みたいです。
今回トルク管理はできてませんが、ベアリングは脱着せずにそのままなのでナットを緩める前の位置まで締める分には大丈夫だと思います。(プロの整備も含め車検3回同じ位置で締め付けてます)
by MHR (2017-12-21 02:20)
1994年ハイゼットのドラムブレーキにてこずり、色々サーチしていてついにここに行き当たりました。丁寧なご説明のおかげで調整機構について一応わかり、助かりました。
このページに辿り着いたのは偶然ですが、ハンドルネームMHRを見てハテと思いました。あの「変歴」の方ですね。あそこの文は未だに読むことがあります。ZX10のお話は何度も読みました。
お元気そうで何よりです。
by エンヤ15 (2021-05-02 21:34)
エンヤ15さんありがとうございます。
バイク変歴は稚拙なホームページですが、今じゃ書けないような面白さがあるので、サーバーを引っ越しながら維持しております。あれに登場するバイクのうち半分がまだ手元にあるという・・・。生きてるうちに始末をつけようとあがく毎日を綴ったブログがこちらです。
by MHR (2021-05-02 22:23)