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自転車パーツは精密部品。シマノ105の初期型STIレバーオーバーホール。ST-6400 ST-1055 [ZUNOWの自転車など]

ついでに、昔やったSTIレバーの分解方法を再録してみました。

昔人間からすると、ブレーキレバーで変速するSTIレバーは画期的な発明でした。

しかしこのレバー、機械式の時計並の精密機械であるため、長期間ほおっておくと中でグリスが固まり、シフトアップができなくなります。

うちのも全く変速が効かなくなったのでオーバーホールしてみました。

sti9.jpg

正規ルートで自転車を買うとこのようにオーバーホール方法をかいた説明書がついてきます。

説明書のスキャンデータはこちら。(8ページ) 

(JPEGデータでアップしてます。BOXでファイルを選択すると現れるダウンロードボタンを押してパソコンに保存してダブルクリックで開いてお使い下さい。 一枚開きの紙面をずらしながらスキャンしてるため少しずつダブっています。)

sti8.jpg

変速機構はレバー部分にありますのでレバーを外す準備をします。

まず、変速ワイヤーがフリーになるように変速しておきます。次にブレーキアーチからワイヤーを切り離すか、リリースレバーを緩めます。レバー前のカバーを外し、その状態でレバーを握ると横に変速ワイヤーの頭が見えますので、変速ワイヤーを抜きます。こちらは緩めるのではなく、完全に抜かなくてはなりません。

sti1.jpg

ブレーキワイヤーをレバーのフックから外します。

sti2.jpg

上がブレーキワイヤーエンド。アシストスプリングが入っているため、レバーを取り付けるときのために、この配置を記録しておきます。このシャフトは下から刺さっているイモネジを緩めると抜けます。

sti7.jpg

小さいレバーをずらしたらブレーキレバー裏側にビスがあるので抜きます。四角い座金が挟んであるので紛失しないように。レバー前のカバー(ブレーキレバー)を取るとこのように変速機構を分離出来ます。レバー横の穴がワイヤーホールで、トップギアに変速した時だけワイヤーの頭がこの穴と一致して、ワイヤーを抜くことができるようになります。

sti4.jpg

長年経過したグリスがこのように固まっていました。シフトダウン時は手の力でぜんまいを巻きながらラチェットでその変速位置を保持するので多少動きが渋くても大丈夫ですが、シフトアップ時には腕時計のぜんまいのような細い渦巻き状のバネによってラチェットのロックを解除するため、油が固まると小さいギアの方に変速できなくなってしまうのです。

sti3.jpg

これが分解出来る限界です。配置をしっかり記録しておきましょう。

sti5.jpg

左側が前方になります。
これ1個(レバーASSY右のみ)で1万5000円もしますが、分解してみたら納得です。まるで精密な手巻きの時計ですから。
こんな小さな機構の中に、8段変速分のワイヤー送り機構があるのには脱帽です。
このレバーは戻し側専用で、これの役目はラチェットの爪をはずすだけで、レバーを押すと、機械式時計と同じように固定爪がはずれ、同時に逆回転防止の爪がかかり、1速分だけワイヤーがたるむのです。実際動作を見ると感動しますよー。

sti6.jpg

上の写真で右端にあるプーリーにワイヤーがかかります。
今、ストッパーにプーリーのボスが当たっている状態なので、トップギアであることがわかりますねー。(だれが?)

クリーナーで一度グリスを洗い流して、粘度の低いスプレーグリスを浸透させ元通りに組み付けます。

この作業で完全に治りました。ああしんど。


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コメント 17

hiro

僕のロードバイクにも105が組まれているのですが、こんな精密機械だったのですね・・・
参考になりましたが、オーバーホールを自分でやる勇気は(元に戻す自信がありません)

by hiro (2010-03-05 22:30) 

MHR

hiroさまありがとうございます。
今写真を見る限り、オーバーホールしなくても、できるとこまでカバー外してパーツクリーナーでグリスを流せば復活できるかもしれません。
ここまでばらすのは病気です。
ガキの頃から機械を見るとばらさずには居られない性分でした。
by MHR (2010-03-05 23:50) 

teruteru

 同じ105を所有しており、大変参考になりました。
以前、変速できなくなる現象が発生し、ショップで内部の清掃とグリスアップをしてもらい、復活しました。

 こんな構造だったのですね。
by teruteru (2010-05-05 22:22) 

MHR

teruteruさまありがとうございます。
シマノがカンパを打ち負かしたSTI。
ばらしてみて感動しました。
by MHR (2010-05-09 00:48) 

hashimoto

初めまして、私も105を使っております。
10年ぶりにロードレーサーに乗りはじめたら、2日でリアディレイラ―が動かなくなりました。
自転車屋に行くと20代半ばの兄ちゃんに、
『これ、全部替えるしかないっすね』と言われ自分で直そうと
いじり回していた時、貴方の記事を見つけました。
書いてある通りに分解したら治りました!!
ほんとありがとうございます。どうしてもお礼が言いたくてこちらに書き込ませていただきました。ほんとありがとうございます。
by hashimoto (2012-02-29 13:39) 

MHR

hashimotoさまありがとうございます。
いろんな経験を人に伝えることができるインターネットに感謝です。お役に立てて嬉しいです。
by MHR (2012-02-29 18:00) 

hide

いろいろ検索し、やっと自分と同じシマノの105デュアルコントロールレバーを使っておられる方の記事にたどり着くことができました。
昨日シフトケーブルが裂けたので交換しようと思い、変速ワイヤーがフリーになるように変速した後、レバーから変速ワイヤーの頭を抜こうとしましたが、どうしてもワイヤーの頭が見えてきません。たぶんシフトが固くなって、変速が最大ローのところまでいっていないのかと思いました。スプレーなども試してみましたが、改善しません。
これはもう分解するしかないと思い、ハンドルからレバーを取り外しましたが、最初のヘッドのカバーを六角レンチで外した後、長いほうのレバーを外すことができません。
長い方のレバー(小さいほうのレバーにかぶさっている)を外す方法を教えていただけないでしょうか?

by hide (2014-11-05 10:14) 

MHR

hideさんありがとうございます。
ブレーキワイヤーをレバーから外し、レバーをフリーにしてからまず2mmアレンキーでイモネジをゆるめてレバーの支点シャフトを抜きます。
小さいレバーを押し込むとブレーキレバー裏側にビスがあるので抜きます。
多分このネジの存在がわからないのですよね。追記しておきます。
by MHR (2014-11-05 12:03) 

MHR

hideさん。
写真に写っている説明書をyahooboxにアップロードしました。
本文内のリンクをクリックしてダウンロードしてからクリックして開いて下さい。全8ページです。
by MHR (2014-11-06 21:26) 

hide

MHRさん
できました!!
まったくおっしゃるとおり、すごいメカニズムですね。感動ものです。
シフトケーブルを替えるだけのつもりが、結局ここまでやる羽目になりましたが、いい勉強をさせてもらいました。
MHRさんの助けがなければ、途中であきらめて自転車店にもっていったと思います。
自分でやってみるから、こういうメカニズムにも触れ、自分の自転車に愛着も湧くのですね。
本当に、お世話になりました。
余分かもしれませんが、分解したときの写真を撮りましたので、アップしておきます。
ありがとうございました。

http://www.evernote.com/shard/s81/sh/771bdc61-a614-4a86-9981-d030979ab61e/9f4f0a225251947eb9e26a44ecc8d02a

by hide (2014-11-08 15:31) 

MHR

hideさんお疲れ様でした。
そしてオーバーホール成功おめでとうございます。
ここまでやると愛着わきますよねー。
多分自転車店ではやってくれません。
時間対費用の元が取れないからです。
これからも楽しんで下さい。
by MHR (2014-11-08 21:39) 

masa

MHRさん
左側(FD)のラチェット(?)が効かなくなり分解したくてこのサイトにたどり着きました。非常に参考になります。文中の説明書のスキャンデータ(8ページ)を参照することができませんでした。yahooBox内に再upお願いできませんでしょうか。よろしくお願いします。
by masa (2016-09-09 19:05) 

MHR

masaさんありがとうございます。
こちらからはどのパソコンからでも見ることができましたのでyahooBOXの問題では無いようです。クロームでもIE10でもedgeでも大丈夫でした。ファイルに問題はないので一度他のパソコンか、タブレットで確かめてみてください。
一覧が表示されたらファイルをクリックし出てきた拡大画面の左側のダウンロードをクリックしてください。
by MHR (2016-09-09 22:21) 

豊田佐吉

自分も先日15年間愛用していた自転車のSTIが効かなくなって
しまって、とりあえず「大手自転車チェーン」に相談に行ったら
「ここまでの古いパーツは、メーカーにも在庫無いから、新品
に交換、今は最低でも10速だから、RDもスプロケも変えないと
だめ。このハブは10速に対応してないからホイールも変えない
とダメ」とかさんざん言われました。
普段行かない店だから、舐められても仕方ないんだけど、この
サイトのおかげでなんとか修復できました。YhooBOXの
ファイルはホントありがたかったです。これで愛車とお別れ
せずに済みます。良かった~。

by 豊田佐吉 (2016-10-17 00:04) 

MHR

豊田佐吉さんありがとうございます。
お役に立てたようで嬉しゅうございます。
なんとこの記事、このブログの中でも最多アクセスを誇ってるという・・・。まだこの初期型105使ってる人いるんですねえ。というか、性能面ではなんにも言うことありませんし。
あと、一度分解しとけば次からは分解せずとも隙間からパーツクリーナー吹き込んでスプレーグリスを吹き込めばまた使えるようになります。お試しを。
by MHR (2016-10-17 15:48) 

まっくけむすと

記事ありがとうございます。
私も昨年、十数年ぶりにロードレーサーを使い始めようとした所、数キロでリアのギアがローにへばり付いたままになってしまいました。MTBでも似たような経験があるので、分解整備しようと思いましたが、ほとんど分解できず、そのまま納屋に一年放置してしまいました。この記事のお陰で分解できました。
まだ組み立てていませんが、シフトアップ用の内部の爪とバネを可動できるようにしたところ、うまくシフト可能になったようです。
久しぶりにロードレーサーで走れそうです。
ありがとうございました。
by まっくけむすと (2017-10-07 20:18) 

MHR

まっくけむすとさんありがとうございます。
お役に立ててよかったです。
簡単に壊れる部品ではないので延命できてよかったですね。この頃は全部品がメイドインジャパンなので高品質です。
by MHR (2017-10-08 14:56) 

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