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整備不良車の汚名返上に向けて。BMWR100RSのブレーキ整備ほか。 [88'BMW R100RS]

北海道からの帰路、うちに着く直前に沈黙してしまった電装を修理しました。

まあ、単純にヒューズが切れただけですが、高速を降りるまでもってくれたことに感謝せざるを得ません。

なぜなら、ETCもこのヒューズ経由だったから。高速から降りることができなくなるところでした。

なにしろ特殊なヒューズで手持ちがなかったのです。

まずはシートをあけ、工具入れをはずします。

ヒューズボックスはバッテリーの上、タンクの後端のここにあります(丸いつまみのある箱)。

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ふたを取ると、見慣 れないものが。(本来、上の段にも同じものが入っています。)これがヒューズ(8A)です。その形状からゴキブリヒューズとよんでいました。(これは8ア ンペアなので白ですがアンペアによっては黒くてゴキブリの卵に見えたから)R80G/Sも同じ。R100GSは普通のブレードヒューズになってました。

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こういう風に切れま す。古いドイツ車(ワーゲンカブトムシ、アウディ100など)は全部これです。ドイツ車のディーラーにいかないと手に入りません。本体は樹脂で、両端に円 錐状に加工した端子を持ったヒューズ材が真ん中の溝にはまっています。ガラス管ヒューズやブレードヒューズと違い、芯はカバーもなく、むき出しです。(そ ういえば昔の家のヒューズがそうでした。)

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今回どこででも手に 入る普通の7.5Aのブレードヒューズに換装しました。そのためにヒューズボックスの裏のコネクターに新しい配線を設け、ブレードヒューズ用のホルダーを 追加します。ヒューズボックスの裏にアプローチするためまずタンクを写真の2個のクリップを抜いて上へ持ち上げはずします。工具は必要ありません。(ホー スははずしておきます)

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ついでにタンクの外 に這わせていたETCの配線をタンク下のメインフレーム沿いに固定しました。ちなみにこのフレーム、サブフレームも含め、国産車ならレーサーにしか使われ なかったクロームモリブデン鋼です。

8アンペアのノーマルに代えて、7.5アンペアのブレードヒューズを設置して完了です。(写真を撮り忘 れました。)

これで無事復活。原因はやっぱりアースの締め忘れによる接触不良から出たスパークだと思います。北海道でJAF呼ぶ前にすでに ヒューズが切れかけていて、切れた部分がかろうじて接触したまま電気は流れ続け、うちの間際で解け落ちてしまったのでしょうね。よくがんばったものです。 感謝。

次は本命の作業、ブレーキの引きずり解消。パッドを押している4個のピストンのうちどれかが固着して、レバーを離してもピストンが戻 らないのが原因でしょう。

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オイルラインを切 り、フロントフォークから左キャリパーをはずします。べベルドカティと同じブレンボの対向ピストン2ポッドです。フォークについているときに高トルク (50Nm)で締まっている分割ボルトも緩めておきます。はずれたらパッドピンを抜いてパッドをはずします。(パッドはキャリパーが車体についているとき にはずしたほうが楽だったと、あとから気づきました)

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まずはキャリパーを 2分割します。8㎜ボルトを緩めて・・。

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げげげのげ。この キャリパー、一度も分解してねえじゃん。(なぜなら、このボルトもオーバーホールキットについてくるから。一度でもオーバーホールしたのならこんなになり ません)。しかし対向ピストンだからキャリパーを開く方向に猛烈な力がかかるのにボルト2本だけって。タッチがスポンジーなわけだ(十分効くんですが、開 く感じが伝わってきます。)

あけるのが怖い・・・。

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真っ二つ。ピストン は見事に固着しております。ウエスで包んでエアを吹き込みピストンを抜きます。今回ウエスで包むのを怠りえらいことに。

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ブレンボ38㎜キャ リパー用オーバーホールキット 5240円。(1個分。ダブルディスクなので2個要)

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左がはずしたダスト シール。右が新品。パッドが減るとピストンがせり出し、これも引っ張られるため、同じものとは思えないほど伸びきってます。

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これがピストン。ア ルミにコーティングしてあるみたいで非常にやわらかく、エアを吹き込んだときに横着してウエスで包まずにいたら吹っ飛ばしてしまい、傷だらけになってしま いました。

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(ピストンが抜けた あと。まだダストシールが付いてます)。ブレーキオイルに水が混じっているみたいです。

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ピストンシールリン グを爪楊枝で取り去り、溝をお掃除。爪楊枝は相手を傷つけない万能工具です。

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新しい四角断面のリ ングに、付属のシリコングリスを塗り塗りします。

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こんな感じで溝に押 し込んでいきます。

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さびが出ているピス トン。でもこれは引きずりの真犯人ではなさそう。

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これにも付属のグリ スを塗りたくります。

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かじらないように まっすぐ押し込んでいきます。

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これが付属の新品の キャリパー合体ボルト。このボルトには対向するピストンのオイル圧がもろにかかるため伸びてしまいますので必ず交換します。Oリングは左右キャリパー間の オイル穴のシールです。

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ご苦労様でした。新 旧交代です。締め付けトルクは50Nmです。(キャリパー取り付けボルトは32Nm)

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ここが対向するピス トンへのオイル穴。Oリングを新品にします。

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キャリパーを合体さ せ、パッドを入れ、パッドピンで固定します。

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このようになりま す。後は車体に戻してオイルラインを装着。今度は右側キャリパーを分解。

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ダストシールがはみ だしていてなんだか期待できそう。(なにを?)

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おおおっ!なんじゃ こりゃあ!引きずりの真犯人めっけ!

石灰みたいなものが藤壺のように固着してました。でピストンを抜くと。

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おおおおおお。ブ レーキオイルじゃない何かだあ。どぶ水?。よくこれで走っていたものです。ぶるぶる。

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ペーパーで「なに か」を削り落とします。当然円周方向に削ります。コーティングがはげてしまいましたが目をつぶりましょう。

これで左右のキャリパーのオー バーホールが完了。マスターシリンダーにブレーキオイル(ほんとはブレーキフルードというのが正しいようです。)を満たし、エア抜きをします。

ブ リーダーボルトに注射器をホースで接続してブレーキオイルを吸い込みます。

ブレーキレバーを数回握って、キャリパーのブリーダーを開けると 負圧でエアが吸い出されますので、エアが抜けたらブリーダーを閉じてレバーを離す。これを繰り返します。

しこしこしこしこ。しこしこしこし こ。

あれ?あれえ?

0.5リッター缶がなくなるほどオイルは循環したのに一向に手ごたえがありません。ブリーダーからはエア ではなくちゃんとオイルが出てきてるのに・・・。相変わらずレバーがグリップについてしまいます。

1時間やって挫折。

BMW ボクサーの掲示板を見ると、マスターシリンダーにエア塊が残ってしまう模様。

で、掲示板にあったやり方で養生してみました。

  1. ブ レーキレバーをタイラップでグリップ側へ引っ張り固定。
  2. ブレーキレバー側がホース側より高くなるようにハンドルを固定(左へ切る)
  3. サ イドスタンドで立ててバイクを左に傾いた状態にする。
  4. 一晩置く。

 なんとこの方法でリザーバーのエアが完全 に抜けてタッチが回復しました。

こうするとホースとタンクの継ぎ目にあるエアがタンク側に浮いてくるそうです。

早速試乗。

あ れ、効かない。止まらない。タッチはちゃんとしてるのに。まるで硬化した自転車のブレーキのよう。

ここで原因らしきことを思い出しました。

ブ レーキパッドを組むときに、内外どっちについていたかチェックせずに適当に入れたのです。

精度よく作られていてもブレーキパッドはまっすぐ 減りません。ディスクに対しあたりが付いて初めて効くようになります。

たぶん部分あたりしているのでもう一度慣らしから。

教 訓:はずした部品は必ず元の場所へ戻しましょう。

もちろん引きずりはなくなりました。やっぱりあの石灰質がシールに引っかかってピストンが 押し出されたままになったようです。これで燃費ももっと伸びるでしょう。(現行22㎞)

 


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コメント 5

二兎を追う男

すいません・・・
最近のブレーキは、ブレーキ液ではなくて、オイルなのでしょうか?
ピストンにグリスを塗るところからして、ブレーキ液では無さそうですねえ・・


by 二兎を追う男 (2009-09-23 00:00) 

MHR

二兎を追う男さまありがとうございます。
いえいえ、DOT4のホームセンターで買った自動車用ブレーキ”オイル”です。(アルコール?)
あれ?ブレーキオイルっていいません?俺だけ?紛らわしくてすいません。
もっとも今回出てきたのはどぶのような水まじりの「なにか」でしたが・・・。
グリスはブレンボ製の付属品で、グリスといっても名前だけで感触からするとシリコンですね。
べたべた具合があの建築用のシリコンコーキング充填材とそっくりです。もちろん硬化しません。

by MHR (2009-09-23 00:37) 

nobuki

 お疲れ様でした。
 数年前まで、私のバイクには油圧ブレーキは無く
 初めての油圧ブレーキがやはり、シリンダーが。。。。

 一度経験すれば、なんてこと無いのですが、初めての経験は色々考えちゃいますね!

 エアー抜きの方が、うまくいかない苦労しました。
 今では、掃除機で強制的に吸ってしまいます。
by nobuki (2009-09-23 10:20) 

kanchi

同じタイプのヒューズは90年代まではメルセデスでも使っていましたよ。ヤナセオリジナルのヒューズとバルブの交換セットを大量に持っていましたが、引っ越しのタイミングでなくしてしまいました。

私がブレーキ・フルード交換した際はリザーバのフタを忘れて開けたままでエア抜きしたら、鯨の潮吹きよろしく周囲に飛び散りってしまった苦い経験があります。

それにしても「どろ水」みたいなのが溜まっていたなんてぞっとしますねぇ。
by kanchi (2009-09-23 12:04) 

MHR

nobukiさまありがとうございます。
油圧ブレーキやクラッチは乗らなくてもだめになりますね。
確かに昔のオフみたいな前後ドラムは水が入らない限りだめになることはなかったように思います。(ワイヤーが危うくはなりますが。)
掃除機ですか。いいこと聞きました。今度試してみます。

kanchiさまありがとうございます。
やっぱりメルセデスもそうでしたか。昔同僚がアウディ100を廃車したときにヒューズを1台分もらったのですが、やっぱりどっかいっちゃいました。
バイクの場合はふたを開けっ放しでエア抜きしても飛び散りませんねー。構造が違うのでしょうか。
泥水は明らかに水でした。ブレーキフルードは給水しやすい旨、缶に記してありますが、これほど水がたまるということはよほど長い間フルードを交換してなかったのでしょう。中古車を買った時点で真っ先に交換しておくべきでした。。
by MHR (2009-09-24 23:15) 

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