職業訓練中盤 アーク溶接 [職業訓練校とか資格とか]
ただいま職業訓練ではアーク溶接を学んでいます。
なんとなく過去の溶接技術というイメージがあったアーク溶接ですが、今まで同様「目からうろこが落ちまくり」状態です。
ちょっと話は戻りますが、これはここへ入学して一番はじめに作ったものです。
穴こそ開いていませんがおなじみの蝶番(ちょうつがい)。
1.2㎜の鉄板をはさみで切り、ハンマーで曲げて作ったものです。心棒は溶接棒で、ガス溶接でとめてあります。この時点では溶接は先生が行い、われわれは曲げるだけでした。しかし間違いなくこれがすべての始まりでした。やればできるものだと。
これが最近の作品。1.2㎜の鉄板を機械カット(シャーリングといいます)とはさみで切り、機械曲げ(プレスブレーキといいます)したものを溶接したものです。
裏はこうなっています。足はすべてはさみで切って作成。スポット溶接で固定。多少機械に頼っていますがほとんど手作りです。
最新作がこれ。
溶接がまだですが工具ははさみとタガネとドリルとやすりのみ。
これからガス溶接で四隅をなめていきます。
溶接直後。屋根のそり具合がいい感じ。溶接熱でこのようにひずみました。
これからやすりで形を整えていきます。完成品はまた後日。
さて本題です。
ガス溶接のところで「アーク溶接はビードが云々」と書きましたが盛大な勘違いをしていたことを教えられました。
溶接開始。赤熱してます。ガス溶接では右から左に進んでいきますが、アーク溶接では左から右へ進みます(運棒といいます)。
ガス溶接では鉄板を溶かして、へこんだところを溶接棒を溶かして埋めていくという作業をしますが、アーク溶接では電極となる溶接棒自身が溶けて継ぎ目を埋めていくため、下手なうちはどんどん山盛りになっていきます。
溶接終了。ビードが幅広くきたないですねー。
全体はこんな感じ。左が途切れているのは溶けてなくなってしまった溶接棒を新品に交換したためです。うまい人がやれば継ぎ目はできません。
あれ??ひびが入ってます。さっきまでなんともなかったのに。
あれよあれよという間にひびが広がっていきます。
で、こんなハンマーでどついてみると。
あれ?表面が崩れ落ちていきます。
実は、溶接直後に表面にあるのはアーク溶接の棒を包んでいるフラックスという薬剤が溶けたもので、スラグと呼ばれるシールドです。溶接ビードが空気に触れて急冷するのを防ぎ、酸素から溶解した鉄を守る役目があります。
そうです。私が今まで溶接ビードだと思って、汚いといっていたのはスラグだったのです。
スラグは冷えていく過程でひび割れていき、さらにこれをハンマーで叩くと写真のように光り輝くビードが現れるのでした。
というわけで、スラグは溶接部分を保護していますので、自分で冷えてひび割れるまで、割ってはいけません。これはまったく知らなかったことでした。
ちゃらーん。MHRはアーク溶接を覚えた。またレベルがひとつ上がった。
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3つ目の作品って、切り抜きもハサミだけですか。
凄い奇麗で、機械加工みたいですねえ。
あと、アーク溶接のビードが奇麗です!
本当に初めてですか?
私は苦手で、スタートがうまく出来ません(すぐに棒がくっついてしまう)
だから半自動しか使えません。
by かとう (2009-09-25 22:20)
アーク溶接の理論的なことは無知なのですが、作業に慣れた同級生のやり方見て、溶接箇所を叩きながら溶接具合を確認してきました。
MHRさんの記事のおかげで理由などが分かり、大変参考になりました。
by kanchi (2009-09-25 22:48)
かとうさまありがとうございます。
切り抜きは3㎜のドリルで連続して穴をあけ、その間をタガネで切り取り、やすりで仕上げたものです。聞いてみればなんだという、ほんとに原始的な加工です。レーザー加工機ばかり使ってましたのでこんな方法思いつきませんでした。
アーク溶接はここへ来てからで、初めてです。スタートは隣に別の鉄板を置き、そこで棒の先端をこすりアークを起こし、しばらく放電してから目的の鉄板上の少し外(鉄板の上じゃなくスタート地点の少し外です)で少し離してアークを飛ばし、少しの時間、鉄板を暖めてからおもむろにスタート地点に持っていくのがコツです。溶接高さはアークの溶けた中に突っ込むぐらい、スピードは腕時計の秒針ぐらいです。棒がくっつくのは電流が低すぎでしょう。通常くっつく前に溶けますから。(スタートでこけるのは鉄板があったまっていないから。先の方法で加熱してからスタートです。)
kanchiさまありがとうございます。
他にも、アークの場合、中心の溶接棒が回りより先に溶けますのでアークをとめたときには先端がストロー状になります。このおかげで溶けたフラックスから出るシールドガスがうまい具合に噴射するのですが、溶接をとめた場合、次に開始しようとしても中心棒が鉄板から離れてしまっているため当然アークは飛びません。ですから溶接棒の先端ををコンクリートや鉄板上に叩きつけます。これで周りのフラックスを破壊し、中心の溶接棒を露出させて初めてアークが飛ぶようになるわけです。知ってしまうとなーんだってことばかりですがそういうことの積み重ねでプロの仕事が出来上がるということを知って非常に楽しいです。
専門書よりこういう説明のほうがわかりやすいですよね。
by MHR (2009-09-26 01:24)
こんちゎ
可愛いにゃんこのデザインですね^^
完成画像楽しみにしてます~♪
by 通りすがりの15番 (2009-09-26 16:46)
通りすがりの15番さまありがとうございます。
このデザインは好評でした。
ちょっと天狗になってしまいそうです。
by MHR (2009-09-26 21:30)
スラグのことがわかりました。前回はスラグ剥がさず重ねて溶接して失敗したマフラー修理に再度挑戦してみます。ありがとうございました。
by 綿 (2016-07-10 21:36)
綿さんありがとうございます。
勉強は絶対必要ですねー。
職業訓練校いってよかったです。
知らないまま「アーク溶接はきたねー」とずっと信じていたかも。
by MHR (2016-07-11 11:37)