BMWR100RS 5万キロでの(VALEO)バレオセルモーター交換 [88'BMW R100RS]
BMWR100RS用のバレオのセルモーター(新品)を手に入れたので本日交換しました。(壊れたわけではありませんが北海道での恐怖の経験がトラウマになって・・・。たとえバレオでも新品なら大丈夫でしょう。)
まずはタンクとサイドカバーをはずします。
ガソリンホースをはずし、ここに刺さっている2個のクリップを抜いて、タンク後端を思い切り引き上げるとグロメットからぼこっと抜けますので、後ろへ少しずらしてタンクの前側からはずします。(後ろはシートが引っかかるため引っ張れないため)
サイドカバーはここにあるプラスネジを緩め(はずす必要なし)手前に引きながら上へ持ち上げると外れます。
エアクリーナーケースをはずすと楽になりますので(というかはずさないと、セルの交換はまず無理)エレメントをはずします。
ネジをはずすのに邪魔なブローバイガスの還元装置がありますのではずさなくてはなりません。そのためにはキャブレター側のプラスチックのホースをはずす必要があります。
おっとその前にバッテリーのマイナスアースをはずしておかなくちゃ危険です。
このカバーの下にセルモーターがありますのでネジ2本をはずして持ち上げます。かなりきつくはまっているのでプラハンでこつこつ叩きながらはずします。
セルモーターとご対面。手前のネジが問題のやつ。工具を回すスペースがありません。向こう側のねじはエアクリーナーケースをはずせばソケットレンチが入りますが・・・。こっち側にはエアクリーナーケースをはずしたあとにも壁があるんです。
キャブのホースをはずしたあと。このアルミの白いリングを引っこ抜くとゴム製のファンネルが抜けるようになります。今回ここがさびていてなかなか抜けず困りました。さびを落としてシリコンスプレーを吹いておきます。
キャブ側。まあなんということでしょう。すすで真っ黒です。今度はキャブかあ。終わりなき戦いだあ。
実はこの前の宅建試験の際、パンパン吹き返して調子を落としていたのですが、原因がわかりました。キャブをマウントしているバンドがゆるゆるでした。まだまだあちこち問題がありそうです。
わああ!無理やり抜こうとしてブローバイのパイプを折ってしまいましたあ!瞬間接着剤でとめてテープでぐるぐる巻きにして見なかったことに。
臓物がなくなったエアクリーナーケース。中からエンジン側に2本、ミッション側に1本刺さっている計3本のボルトをはずします。これが電食で食いついて抜けないこと。取り付けるときにグリスを塗りましょう。
エアクリーナーケースを上へ持ち上げて。
これで邪魔になるものはすべて外れました。ここまではずすと向こう側のマウントボルトはエクステンションをつけたラチェットレンチと13㎜のボックスで外れます。
で、問題はこちら。手前に壁があって、ラチェットレンチどころかスパナ、めがねレンチなど手元にある工具が入りません。たとえここに入るソケットレンチがあっても、緩んでいくとボルトがこちらへ出てくるため、工具もろとも抜けなくなります。一番現実的なのは首振りソケットレンチですが、ほんのちょっとしか首を振れないため大変な時間がかかります。当然トルクレンチは使えませんのでトルク管理なんて無理。セルモーターはこの2本のボルトだけで固定されるため、しっかり締める必要があるのに・・・。(セルモーターの下に見えるのはリングギア。そうです。隙間があるんです。国産車では考えられません。この件はあとで)
こんな感じで壁があります。
絶望的な気分でじっと眺めていると・・・。あれ?この壁って。穴があるけどなんのために???。
実は反対側もこの壁はありますが、セルモーターがオフセットしているためとブローバイホースを通すためのきりかけがあり、そちらのねじはソケットレンチが入るのです。そこの壁にも穴があいてますが。
って、この穴、なんにも仕事してないじゃん。つまりこの壁は要らないってこと?それならそれで。
で、この暴挙。ワイヤーカッターで壁をむしってしまいました。ベルトサンダーかグラインダー、リューターがあれば削ればいいのですが。根性があれば金鋸とやすりでもできます。ただし気をつけてやらないとミッションケースにクラックがはいる羽目になりますので、穴に向かって慎重に切り進めていきます。。切ったあとはクラックが入らないようにきれいにやすりがけします。(すごくやわらかいため簡単に削れます。
ただしこれはモノサスのR100系しかつかえないかも。もともとこのケースを使っていた古いタイプでは何かついていたはずですからね。何も付いてなかったらラッキーだと思って削っちゃいましょう。(当然ですがオリジナル性を重視するならやってはいけません。商品価値は間違いなく下がるし、もし手放した場合次のオーナーのブログに批判が載ることになりますから自己責任ですよ。)
やった、ソケットが入った!これでもう何にも問題がありません。楽勝でセルが外れました。トルクレンチも使えます。
セルモーター後ろにあるここの配線3本をはずします。これでセルモーターが外れます。ただし真上には抜けませんので後ろへ引きながら上へ持ち上げましょう。
ちなみにはずしたセルモーターはギアの消耗もなくまだまだ使える状態でした。
初めて見るバレオの箱。
着いていたのはD6RA-7、つけるのはD6RA-15という品番です。マグネットの接着剤が改良されたと言うことでした。
ピニオンに耐熱グリスを塗ります。ギアの下に見えるのが一方向だけに回転を制御するクラッチ。さらに下には回転を減速してトルクを増すための遊星ギアユニットがあります。クラッチユニットはピニオンギアとくっついてあがってきます。セルを回したときにでるギャーンという音は遊星ギアとクラッチの間にあるスプラインのグリスが切れてピニオンが戻らないか、ピニオンのグリス切れでリングギアからピニオンが離れないからです。そのままほおっておくとエンジンによってクラッチユニットが回され、クラッチが焼けますので注意。隙間からスプレーグリスを吹くか、覚悟して分解しましょう。(次回のブログで分解しますので参考にしてください。)
セルモーターをはずしたあとは大穴が開いてます。(物を落とすととることができませんのでウエスをつめときましょう。)ここに見えるのがクランクに直結してクラッチハウジングを支えているリングギア。セルモーターはここに噛みます。ここのグリスが切れるとセルモーターのギアが抜けずぎゃーと叫ぶのです。こちらもグリスを塗っときましょう。ここで初めてあちこちのサイトで見たクラッチがさびさびになる原因を知りました。
さびだらけのクラッチ。このRSは購入時雨天未走行と言うことでしたのでこの程度ですが、普通に使っているやつはガビガビです。
なぜさびるのか。
実はここ、雨ざらしなんです。セルモーターをつけてもかなりの隙間があります(前述)。さらに。
セルの真上のカバーににスリットがあるんだもん。なんですかこれ???ここから入った雨水や洗車の水はセルモーターのピニオンからリングギアへ落ちて下に抜けるんですねー。そこにあるのが乾式のクラッチユニット。そりゃさびますわ。(実際はタンクがありますから直接水が入ることはないでしょうが。ホースで水をかけたらさすがに入るでしょうねー。)
無事着いたおぼこのフランス娘。これからまた5万㎞がんばってもらいましょう。
いちおうやすりがけした壁。もう少し(穴のふちまで)削ったほうがソケットが引っかかりません。これで次回の交換は楽勝です。(って、いつになることやら)ただしあんまり削ると横壁の強度が落ちるのでリブは残しといたほうがいいと思います。
そういえば、フロントブレーキのホースは、マスターからここを通ってキャリパーへいきます。これは、2本サスのR100のブレーキマスターがここにあった名残ですかね?
あとタンク右側後端にある写真右上の青いソケットは何なんでしょう。ちなに三角形のやつはナビ用のシガーライターソケットです。
ついでにおかめ(エンジンフロントカバー)をはずして壊れやすいダイオードボードのマウントを確認しました。
R100RSの場合おかめをはずすにはオイルクーラーをはずさなければなりません。
一番上がダイオードボード。幸いゴムのマウントにはクラックもなくOK。ここが劣化して千切れるとダイオードボードがぶら下がってしまい、ショートしてしまう危険性があるようです。
真ん中が発電機、一番下が点火時期を制御するトリガーユニットです。ここのカバーもスリットがあるため一番下のトリガーには砂が積もってました。時々はずして掃除する必要があるみたいですねー。
あとは元通り組みつけて終了。
セルを回すとギャーンという音はなくなり、一発でかかりました。ただ少し回転が重いです。このセルモーターはベアリングではなくブッシュでシャフトを支えているので、新品だと抵抗があるようです。
これでスターター関連の心配はなくなりました。はずしたスターターはリペアキットと新品のマグネットハウジングを買ってありますので修理(壊れてないけど)して予備にするか、オークションでお金に換えましょうかね。
次はキャブかなあ。
総走行距離51673㎞。セルモーター220ドル。作業時間3時間。
工具:13㎜ソケット、ラチェットレンチ、100㎜エクステンション、13㎜スパナ、5㎜ヘキサゴンレンチ、6㎜ヘキサゴンレンチ、プラスチックハンマー、10㎜スパナ、2番プラスドライバー、1番マイナスドライバー、プライヤー、シリコンプレー、耐熱グリススプレー、やすり、金鋸、ワイヤーカッター。
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セル交換おつかれさまでした。
豪快に壁をむしりましたねー。
この方法は思いつきませんでしたよ!
私の場合は、オフセットの深いメガネレンチで時間をかけてちまちまボルトを緩めました。
by ぱりだか (2009-10-24 22:34)
なるほど。
BMWは全然いじったことがないですが、面白いですねえ。
あの巨大なエンジンカバーの中はこうなっていたんですね。
クラッチが雨ざらしなのは、乾式で摩擦面は錆びても大丈夫という思想なんでしょうか・・・
by 二兎を追う男 (2009-10-24 22:47)
ぱりだかさまありがとうございます。
今日は雨が降りそうだったので(作業スペースが屋外しかないんで・・・。)ちまちまやっていたのでは埒があかんというわけでやってしまいました。まあ、今学校で金属の手加工をやっているのでやってみようと思ったのですが。終了後ギアボックスが割れてたらと思うとぞっとしました。目の前に都合よくワイヤーカッターが出現したのも「やっちまえ!」という神の啓示だったのかもしれませんが・・・。ちゃんとやすりと鋸でやるべきでしたねー。
バレオのパーツまとめて数台分買ったので一杯余ってますんで、壊れたやつ集めて治してオークションに出そうかな?
by MHR (2009-10-24 22:52)
二兎を追う男さまありがとうございます。
このエンジン、国産車だと必ず入っているパッキンと言うものが見当たりません。カバーはすべて直についていて、しかもほとんどのカバーに放熱用と思われるスリットがあいてます。これじゃ発電機やイグニッションのトリガー、クラッチユニットなどはむき出しと一緒です。
セルモーターも国産と違って車用を流用しているようです。(昔のドカティのボッシュのセルモーターもそうだったっけ)まさかエンジンの上半分をセルモーターが占拠していたなんて驚きです。
by MHR (2009-10-24 22:59)
先日、私のR100RSのセルモーターが壊れました。BMWの正規ディーラーに価格を確認すると大変高価でした。220ドルで入手された様ですが、差支えなかったら入手先を教えて頂けないでしょうか?
by plazadelamo (2011-08-08 23:04)
plazadelamoさまありがとうございます。
http://www.euromotoelectrics.com/
です。
定価は65000円ぐらいですね。
現在は送料が46ドルにあがってますので230ドル弱です。
でも円高が進んでるため同じぐらい?
by MHR (2011-08-09 00:23)
MHRさま、お教え頂き有難うございます。
修理の選択肢は
1.バレオ製純正品へ交換
2.EnDuraLast製リプレイス品へ交換
3.日本電装製リプレイス品へ交換
4.EnDuraLast製マグネットハウジングのみ交換
5.故障品を修理
とりあえず、故障品を取り外して原因を調べてからどうするか決めたいと思います。
by plazadelamo (2011-08-10 23:59)
MHR様からご紹介頂いたEURO MOTOELECTRICSよりEn DuraLast製のセルモーターを取り寄せassy交換しました。
送料($46)込で$165でした。M8取り付けボルトは、差込み角6.35mmのKTC製のラチェットレンチ(これが一番ヘッド部が小さかった)を使用し締付。装着後、特に問題なく始動。
by plazadelamo (2012-01-02 01:05)
plazadelamoさまあけましておめでとうございます。
セルモーター交換ご苦労さまでした。
これで心配事がひとつ減りましたね。
でも引換にまた一つ心配事が増えるのが旧車ですよねー。
がんばってください。
by MHR (2012-01-02 16:05)