BMWR100RS (VALEO)バレオセルモーターの分解 [88'BMW R100RS]
さて、先日はずしたヴァレオ(こう読むらしいです)のセルモーター。
本日は分解したいと思います。(ちょっと驚愕の事実が発覚しました。詳細はあとで)
D6RA-7と言う品番です。
ピニオンがさほど減っていません。ちょい乗りしてなかったのでしょうか。(51000㎞走った割りに使用回数が少ない?)
まずここのリベットを4㎜ぐらいのドリルでもみ落とします。左はノックピンですので取らないこと。
4㎜のヘキサゴンで3本のボルトをはずします。ただし、改良版のD6RA-15ではT25のトルクスとなっています。
13㎜のソケットレンチでソレノイドからリード線をはずします。
プラハンで軽く小突きながらマグネットハウジングを分離します。
ここに減速用のプラネタリギアがあります。このセルはぜんぜん痛んでませんのでグリスアップで済ませましょう。汚れがひどい場合パーツクリーナーで洗浄してからスプレーグリスを吹き込みます。
マグネットの剥離はなさそうです。ピニオンの磨耗もなく、粉もあまりありません。拍子抜けしました。(セルを交換する必要は無かったようですねー。まあ予防策と安心料ってことで)
ブラシカバーの8㎜ナット2個をはずします。ナイロンのセルフロックナットですので、組み付けるときは新品にしたいところですが、再使用する場合ネジロックぐらい塗ったほうがいいかも。
プラハンで軽く小突きながらカバーを持ち上げていきます。結構きつくはまってます。
リード線を残してはずします。
こういう風に片側だけ段つきになっています。リード線の切り欠きがあるので向きを間違えることはなさそう。
段付きになっているのは左のリード線がはまっているから。板の厚み分段がついているわけです。
ゴムのカバーをはずします。
カバーの下はこうなってます。
このスプリングは真ん中でホルダーを貫通し、マグネットハウジングのつめとブラシホルダー左側の壁で自分を支えながらブラシを抑えてます。スプリングの先にある台形のものは絶縁体です。この下にブラシが縦方向にはまってます。
位置関係はこう。下の穴のベロにスプリングのセンターが引っかかってブラシホルダーを固定しています。はずすのはともかく、ホルダーを割らないようにスプリングをはめるのが大変そうです。
先の細いマイナスドライバーでスプリングのセンターを爪からはずすように押し出します。ドライバーをこじったりひねったりしないこと。ホルダーが割れてしまいます。
スプリングはこういう形です。ここでもう一度どのようにはまっていたか確認しときましょう。
ブラシとスプリングを絶縁している台形のパーツをなくさないこと。組み付けるときこれを入れるのを忘れるとショートしてしまいます。これでリード線を上に引っ張るとブラシが抜けてきます。
右が新品。およそ18㎜あります。こいつのは10㎜と12㎜という風に片側が多く減ってました。まだまだ使えそうですが交換しましょう。
このブーツも再使用するのではずします。
左がリペアキットに入っているホルダー。どうやらシリコンかなんかで型をとって作ったリプロ品のようでやけにつくりが甘いです。(機能的に問題なしですが)
純正品にはVALEOマークが。奥のほうに見えているのがアーマチュアで、ブラシがあたる部分です。こんな向きにブラシが刺さっているモーターははじめて見ました。
さてここまで分解するとあとはアーマチュアをマグネットハウジングから抜くだけですが、引っ張ってもアーマチュアが抜けないので、ここにあるCリングをはずさないと抜けない・・・・と思ってしまいます。じつはこれは、ここではずしてはいけません。と言うか工具が入らないので絶対外れません。はずそうとするとホルダーを割ってしまいます。
で、どうするか。
ほれ、このようにホルダーは持ち上げるだけで外れるのです。
そりゃそうです。真ん中の穴はただの円筒ですから。。(後期型ではCリングにアルミキャップがかぶってます。たぶんブラシホルダーをつけたまま無理やりCリングをはずそうとするのを防止するためでしょう。)
あとはこのゴムのガスケットを取り去り。
プライヤーでこのようにCリングをつまむだけで外れます。
Cリングはこういう形です。
Cリングの下には2枚ワッシャーが入っています。上には厚いワッシャー。
その下にはたぶん調整用の薄いワッシャー(シム?)があります。その下の分厚いのはシャフトを支えているブッシュですので外れません。これでアーマチュアが抜けるようになります。
ご対面ーん。思ったほど汚れてません。拍子抜けしました。軽く洗浄して使います。
おっと、マグネットにこんなのがくっついてました。ここにもこういう向きで段付きのスペーサーが入ってますので注意!。
マグネットも問題なしです。51000㎞走行とは思えません。新品のハウジングを用意しておきましたが、とりあえず隙間をエポキシで埋めて再使用しましょう。
こちらがプラネタリギアと勘合する側ですが、消耗もなく問題なしです。
が!こんな傷が!!どうして???リペア品なの???なぞです。原因不明。
気を取り直して。今度は反対側のギアボックスをばらします。T20のトルクスを使ってこのボルトをはずします。(これ1本で固定されてます。)
これがT20。
おおっ!こっちもきれいじゃん。グリスアップだけで済みそう!(左がピニオンギアを押し出すプランジャー、右は回転方向を規制するクラッチユニット。セルボタンを押すと左のプランジャーがシーソーの左端を引っ張り、真ん中のピンを支点にして右のクラッチユニットごとピニオンギアを押し出し、エンジンのリングギアとかみ合わせます。
真ん中のアームは実はプラスチック。(フランス得意のデルリン樹脂?)車用のVALEO(フィアットやシトロエンの小型車用)では時々折れるようです。
ピニオンギアは上のリングまでストロークして、リングギアとかみ合います。モーターの回転は下側の丸い部分(プラネタリギア)で減速されて、竜巻状にひねりの入ったスプライン(ちょうどアームの内側あたりにあります)で勘合した真ん中の円筒部分にある一方向にしか回らないクラッチを通してピニオンをまわすのです。エンジンがかかるとクラッチが空回りして、セルモーターより高回転で回るエンジンのリングギアがセルモーターを回してしまうのを防止します。スプラインが竜巻状なのは、セルボタンを離したときに、リングギアからピニオンギアが一瞬離れるような方向に力を加えるためです。(ふっと力を緩める感じ?)
リペアキットに入っていたブッシュその1。ケースを暖めて交換するようです。
ブッシュその2。
現段階では用途不明のその3、その4。もう少しばらせばでてくる?
とりあえず、このセルモーターで必要な分解はここまででいいようです。夜もふけてきたので続きはまた明日。
参考になったでしょうか?
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ブラシホルダを割らないように、分解組み立ては大変です。
いくつ割ったことやら・・・
by ぱりだか (2009-10-26 22:18)
ブラシの部分、複雑ですねえ・・・
以前にGX750のセルモーターをばらしましたが、至極簡単でした。
私のはブラシの粉で汚れまくっていて、分解掃除のし甲斐がありました。
by 二兎を追う男 (2009-10-26 23:48)
モーター内部について、とても参考になりました^^。
by Krause (2009-10-27 08:33)
ぱりだかさまありがとうございます。気をつけてやってみます。
二兎を追う男さまありがとうございます。国産のやつは壊れるとこなさそうですねー。(つまんねえーっと思うのは病気?バレオのセル、愛してしまいそうです)
kurauseさまありがとうございます。いつか買ってください。BMW。楽しいですよー。
by MHR (2009-10-27 22:06)
いつも楽しく読まさせていただいています。
「が!こんな傷が!!どうして???リペア品なの???なぞです。原因不明」
についての考察です。
間違っているかもしれませんが、ロータのバランス取りではないでしょうか?樹脂をくっ付けるタイプを見たことがありますし、今回のように削ったものも見たことがあるような~気がします。
ターボチャージャーも同じような削り跡があり、それはバランス取りが目的です。
by 近所に住んでいるファンです (2009-10-29 23:07)
近所に住んでいるファンですさまありがとうございます。あらためて見てみると、確かに規則的にえぐったように削れてます。表面にも傷がないのでバランス取りで正解ですねー。ありがとうございました。いやあ、すっきりしました。
そろそろMR2にも手を入れなくっちゃ。
by MHR (2009-10-30 18:34)