BMWR100RS (VALEO)バレオセルモーターの組み付け 完了 [88'BMW R100RS]
えーまだやるのー。って幻聴が聞こえますが、たった一人でもこの記事を参考にしてくれる人がいるかもしれないので続けます。
ブッシュの圧入がすんだので分解と逆の順序で組みつけていきましょう。
おっとその前に、バレオセルを分解した最大の理由を解決しなくてはなりません。
このセルモーター、5万キロぐらいでマグネットの接着剤が劣化してマグネットが剥離してしまいます。そこで、はがれた、あるいははがれそうなマグネットをエポキシ接着剤で(ここ、勘違いしてました。後述。)再度接着し、さらに4個のマグネット間の隙間を埋めて補強します。
最初このエポキシ接着剤を購入し使ってみましたが・・・。
なかなか固まらず、あろうことか、じゅるじゅる流れ出してしまいました。これでは充填などできません。
もう一度ホームセンターを物色していたらこんなのがありました。
粘土状ですが、チーズ入りのちくわのようにエポキシ樹脂と硬化剤が2重になっていて、練る事によって硬化します。ところどころすでに固まっていることがあるので練りながら取り除きます。
練っていくとだんだん黒くなっていき、熱くなってきます。
糸状に伸ばしてマグネットの隙間を埋めていきます。この時面白いことが起こりました。なんと粘土がマグネットにくっつくんです。どうやら鉄分を含んでいるようで。隙間を狙ってもあっちこっちにくっついてしまい困りました。
あちゃー、やたら熱くなったと思ったら、1箇所埋めた時点で硬化してしまいました。まるで石のようです。やすりがけOKの意味がわかりました。
ほんとに10分でカチカチに固まってしまいます。これは非常用に持ち歩いてもいいかも。クランクケースの穴ぐらい修理できそうです。
気を取り直してもう一度練って隙間に充填しました。当然ですがマグネットの面からパテがはみ出しているとモーターが回りませんので固まる前にしっかり均しておきます。あと、こちらの空間にはギアユニットが入りますのでパテが干渉しないように盛ります。
モーターの肝、アーマチュアのシャフトにグリスを塗布し。
スラストワッシャー?を入れます。こういう向きでついていました。
そちら側を奥にしてアーマチュアをマグネットハウジングにセットします。この時点で回ることを確認してください。まだ両端が支持されていないため、アーマチュアがマグネットにくっつきますので回転は重いです。(先端のはグリスです)
マグネットに引っ張られてケース後端にシャフトが飛び出します。
分解時にはずしたシム2枚を入れます。ここは摺動しますのでグリスを塗っときましょう。
Cリングをはめます。
プライヤーでCリングを勘合します。はめたらまた手で回してみます。回らない場合はブッシュが完全に入っていないか、ごみをかんでいます。ブッシュがちゃんと入ってて、掃除しても回らない場合は薄いシムを1枚取り除きます。
ブラシホルダーにゴムのガスケットをはめます。向きに注意。このように組み付けます。
今回リペアキットのブラシホルダーではなく純正をそのまま使いましたが、これが後に事件を起こしました。よって最後まで読んでから参考にしてください。赤字の部分が間違ってますがあえて残して恥をさらします。
ブラシホルダーをマグネットハウジングにはめます。
リペアキットの新品のブラシをセットします。
片側はこんな感じで。ボルトにリード線を通します。
反対側はこう。ブラケットをゴムの溝に通してリード線を外にたらします。
分解時にはずしたゴムキャップをこのようにセットします。
あとで入れたほうがいいのですが、ここにはこのように台形の絶縁板が入りますのでお忘れなく。これを入れ忘れるとショートしてモーターがパーになります。(あれ、こんなにでっぱっていたっけ??)
ブラシホルダーの固定をかねるブラシの押さえスプリング。右が最初から付いていたやつ。リペアキットのやつはだいぶ大きくなっていますが取り付けには支障はありませんでした。ただ、大きい分はずしにくくなりますので、次回も分解する可能性があるなら小さいほうを使ったほうが楽でしょう。
このようにスプリングをセットし、ブラシを押さえる部分をしっかり押さえながら、真ん中のベロを右側の穴の斜面に沿って穴の奥へ落とし込むように、ばね全体を指で下へ一気に押しこみます。
このばねのセンター部はブラシホルダーの穴の斜面をすべり、その奥にある、マグネットハウジングの爪に引っかかってハウジングとホルダーを固定します。つまりブラシホルダーはこの一点だけで固定されているのです。
運がよければ一発でこのようにスプリングがはまります。運が悪いとスプリングがはじけてブラシホルダーが割れてしまいますので、壊れていなければ、できるだけリペアキットのホルダーを使わず、元のやつを使いましょう。スプリングがはまったら、ブラシホルダーがしっかり固定されたか確認すること。浮いていたりぐらぐらするようだったら、スプリングがハウジングの爪に届いていません。もう一度スプリングをはずしてやり直します。
スプリングの先端を持ち上げ(ただし絶縁板が滑り込む隙間分だけ。油断して手を滑らすと暴れたスプリングでブラシホルダーが割れます。)絶縁板を押し込みます。
(ここ間違い。絶縁板は最初から入れておかないと後から入りません。後述。)
これでブラシ交換完了です。
ゴムカバーをセットします。一部浮きますがスプリングの下に入れないこと。よく見るとわかりますが、ブラシが減っていくとこのスプリングも一緒に下がっていきます。それを邪魔することになりますので。
ブラシカバーを取り付けます。8㎜ナット2個を締め込んでモーター後端は完了です。
ところが予期しなかった出来事が・・・。
ネジを一杯に締めたら、ふたが2箇所膨らんでしまいました。
実はこのスプリングの先端がふたに干渉してしまったのでした。ごらんのようにネジの根元よりばねの先端が高くなっています。これではネジを一杯まで締めた場合、ばねがふたに当たってしまいます。
それではなぜ干渉してしまったのでしょう。
本来、左の突起と右のゴムカバーに支えられて、ネジを締めてもふたはばねに干渉しません。
ところが新品のブラシがこのように厚いため、絶縁体がホルダーから飛び出してしまい、これを押さえるばねがふたの裏に干渉してしまうのです。
これで、なぜこのふたがセルフロックナットを使っているのかわかりました。ブラシが厚すぎてもふたのネジを締めこまなければ干渉しないからです。>>>これまちがってました。ごめんなさい。後述。
このねじは、ふたに当たったところまでしか締めてはいけないのです。それ以上締めると、ばねがふたの裏に当たってふたが変形するわけです。あーすっきりした。>>ごめんなさい。うそつきました。これも間違いです。
これより追記分。間違いの補正です。
実はリペアキットのブラシは純正より5㎜ほど長く、ブラシホルダーもそれにあわせて穴が深かったのです。
リペアキットのブラシホルダー。こんなにブラシが沈み込みますのでここで台形の絶縁体を入れておかないと後から入りません。
高さがこれだけ違います。左外ペアキット、右が純正。
ですからブラシホルダーはリペアキットのものを使うか、ブラシを5㎜ぐらい削る必要があります。そうしないと、ふたが完全に閉められずに1枚上の写真に写っている端子がふたの中で浮いてしまいます。
そのためふたを固定するセルフロックナットは完全に閉めこみむ必要があります。
以上太字部分が追記分でした。お騒がせしました。
問題が解決したところで、いよいよ出力軸の取り付けにかかります。
プラネタリーギアハウジングを洗浄し、耐熱グリスを塗ります。
プラネタリギアにもたっぷりと。ハウジングにプラネタリユニットを通します。
ここはブッシュがハウジングに入るところですので、手ではここまで出ません。
クリップ溝がでるまでギア側をプラハンなどで叩き出します。ただしギアハウジング(樹脂製)をいためるため必要以上叩き込まないこと。クリップ溝が出るまでです。
スペーサーを入れます。ここも一緒に回転するのでグリスを。
Eリングを押し込みます。これは手で入ります。このリングも一緒に回るのか?念のためグリス。
これでプラネタリユニット完成です。このスプラインに耐熱グリスを塗ります。
おっと忘れてました。ふたを叩き込みます。
しまった!これは裏返しです。うっかりこのまま組んでしまいました。このままだとこのふたはアーマチュアに干渉しますので再度分解です。
こういう向きが正解です。
ピニオンクラッチユニットのスプラインにグリスを塗ってからシャフトに通し、アームとプランジャーをセットします。
ストッパーとクリップを入れてプライヤーで締めます。かなり締めないとストッパーをクリップに勘合できず悩むことになります。たぶんここが一番の難関となります。道具がなければの話ですが・・・。ストッパーは開口部を上向きに。
ストッパーを持ち上げます。
ベアリングプーラーをこのようにセットしてストッパーを引っ張りあげます。
バッチイーン!という大きな音を立ててストッパーがクリップと勘合しました。プーラーなしだと大変な作業となります。
プランジャーにスプリングをセットし
トルクス2本を締めプランジャーの電磁石を固定します。
プランジャー完成。
カバーを取り付け、ボルト3本を締めて
リード線を内側の端子に取り付け完成です。めでたしめでたし。
今日の日付と走行距離をテプラに打ち込み貼り付けました。
さてちゃんと回るのでしょうか。結果はまたあとで。
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接着剤、いろいろありますね~
子供のころ街の荒物屋さんに言って、わくわくしながら眺めていました。
日本はこういうところが本当に丁寧というか、いろんな用途の接着剤が売られているようですね。
組み立て編も楽しませていただきました。
by 二兎を追う男 (2009-11-11 00:42)
おつかれさまです。
もうすっかりヴァレオオタク?
by ぱりだか (2009-11-11 22:21)
二兎を追う男さまありがとうございます。
接着剤って日本が一番種類が多いようですねー。元はといえばアメリカのアラルダイトとかが元祖のようですが、まさかアロンアルファが日本製だったとは。水の中で固まるやつとか、1100度まで大丈夫なやつとかが家庭用として売っていて結構楽しめます。
by MHR (2009-11-11 23:33)
ぱりだかさま、試験ご苦労様でした。
バレオが付いていることがネガだと思っていたのに、通常ASSY交換で済ましてしまうセルモーターいっちょでこれほど楽しめると思いませんでした。これに比べるとボッシュはちょっと。
次回はエンジン本体に手をつけそうで怖いです。
by MHR (2009-11-11 23:37)
今月の別冊MC誌157ページにに同じネタが載ってると持ったら、元ネタはここじゃないですか!
by ぱりだか (2010-06-15 20:47)
ぱりだかさまありがとうございます。
実は雑誌に載せていいか問い合わせがあったので思わずOKしてしまいました。
うふふふ、これで全国制覇かっ!
by MHR (2010-06-16 21:44)