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彫金に挑戦。卒業まであと2週間。 [職業訓練校とか資格とか]

さて、職業訓練校のカリキュラムですが、本日から彫金に入ります。

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3㎜角の長さ50㎜の銀の棒。通称950銀と呼ばれる、銀95パーセント、銅5パーセントの合金です。純銀はやわらかすぎて傷つきやすいため、彫金にはこの材料がよく使われるそうです。このほかに銀92.5パーセントのスターリングシルバー、さらに硬い銀90パーセントのコインシルバーなどがあり、銅の割合が増すごとに硬くなっていきます。(これ1本で約500円です。)赤く塗ってあるのは指に当たる面で、平滑を保つためこの面はたたくな、というしるしです。

銀細工にはこのほかに銀粘土を焼結して作る方法もありますが、そこは金属加工科。あえていばらの道をあゆみます。

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しるしをした面を除く3面をハンマーのとがった側でたたいて伸ばしていきます。

私の指は24号(関節が太いため)に当たり、全長が73㎜必要です。もとが50㎜なので両端をたたいて73㎜に伸ばしていきます。真ん中の1/3は意匠面ですのでたたいてはいけません。

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もとは3㎜角ですがたたいて伸ばすと端面はこのぐらいになってしまいます。ここが指輪の底となります。この棒を丸めて両端をつなげるため、両方とも同じぐらいの面積、形状になるようやすりやのこで加工します。

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たたくと加工硬化を起こすので、焼きなましを行います。

ガスであぶって全体がピンク色になるぐらいに加熱し、水に突っ込み急冷します。(銀の融点は900度ぐらい)

え、これって焼入れじゃないの?

熱して水につけると、鉄やプラチナは焼きが入って硬くなってしまいますので時間をかけて空冷で焼きなましますが、不思議なことに銀と金は水につけて急冷するとやわらかくなるのでした。

それを丸い棒に巻きつけ両端をくっつけます。

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ぎざぎざを削って先を平らにしたペンチなどで先端同士を隙間無くくっつけて、最後に細工用の金のこで継ぎ目をなめるときっちり付きます。

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ルーペで見て隙間があったら根気よくやり直します。これは運良く、きっちりくっつきました。(携帯を目にはさむルーペにくっつけたら、こんな写真も取れるんですねー。)

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さあ、ロウ付けを行いましょう。酸化皮膜を落とさないとうまくくっつかないので、切り口にフラックス(ホウ砂)を塗って反対側を均等にあぶると、フラックスが解けて液状になって接続部を覆います。(直接あぶってはいけません)

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この老眼には見えない、くしゃみをしたら吹っ飛んでいきそうな破片が銀ロウです。溶ける温度によって番号があり、まずは5番を使います。これを接続部分にピンセットでのっけます。(溶ける温度が違うのは、前に加工した部分を溶かさないで次の加工ができるようにです。当然温度が高いほうから使います。そうすれば次に温度の低いものを使えば前の部分は溶けませんから。はんだ付けで、こっちをつければあっちが外れるという苦労をしたことのある人には、わかってもらえると思います。)

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銀ロウを載せた部分から遠い部分を均等に暖めていくと、突然銀ロウが溶けて、接続部分の隙間に吸い込まれていきます。(このときおよそ600度。こちらも直接あぶると温度のコントロールができません。全体をゆっくり暖めます。はんだ付け(180度)の高温版です。)接続部分の面積がわずかなため、ほんの少しの銀ロウできれいにくっついてしまいました。

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一番細い部分がきれいに付きました。

おっと丸める前にやっておかないといけないことがありました。

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たとえ自作でも材質を刻印する必要があります。(うそはいけませんよー)

今回は銀ですので丸める前に「SILVER]のテーキンを打ちました。純度を打つ場合もあります。(950」とか)もし18金を使ったら「K18」金メッキだったら「18GP(ゴールドプレーテッド?)」となります。

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うーん、たぶん道に落ちていても誰も拾わないでしょうね。ワッシャーにしか見えないもん。

ここからこれを指輪に変身させていきます。

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まずはたたいてでこぼこなシルエットをきれいにならします。

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やすりが全面にフラットに当たるように削っていきます。

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面が整ったら、指輪の上側1/3に印をつけます。ここから上は意匠が決まってから加工します。まずはワッシャーから指輪に昇格させるために、指輪をはめたときに両側の指に当たる部分を削っていきます。

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なんとか形ができました。この段階でもきれいに磨くと500円には見えません。

今日はここまで。明日はデザインを考えます。

それにしても、ここまで薄く削ってもちぎれたり変形しないほど頑丈なのには驚きました。

950シルバー、そして銀ロウ付け恐るべし。

*今週末、岡崎市美合町の農業大学校で、農大祭が行われ、そこで、金属加工科が作った鉢スタンドを販売します。また、来年1月末には今まで作った作品を訓練展という名前で別の場所を借りて販売いたします。暇な方いかがでしょうか。(リンク先は去年のです。今年は予算削減のため各校独自でやることになってしまいました。まだ新しいWEBサイトがありません)

岡崎農業大学校

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こいつが大きいほう。確か2000円で売るはず。他に1000円の小さいのもあり。


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コメント 3

二兎を追う男

いや~、引き続き素晴らしいです。
ロウ付けのロウって、粉末なんですね。
金銀の焼きなましが、急冷とは。

私は機械科の出身ですが、学生時代にこういう実習をたくさんしていたら、もっと勉学に身が入ったと思います。(まあ、自分が怠けたのを棚に上げていますが。)
本だけ読んだ学問って、ダメですねえ。
学生時代に自作のバイクのフレームとか設計、製作していたら、材料力学ももう少し頭に残っているでしょうに。

ちなみに、最近の私の金属加工(工作ですね)は、XS650のスポークホイールに、今風(FZR400)の穴あきフローティングタイプのブレーキディスクを付けるためのスペーサーです。
5ミリくらいのアルミ板を金鋸とヤスリで円形に切り出し、内周は小さなドリルで穴たくさん開けてくり貫き、ヤスリで円形に仕上げました。勿論、真円からは程遠い出来です。(笑)

レーザー加工を頼めば2000円で出来るそうですが。


by 二兎を追う男 (2009-12-04 00:16) 

MHR

二兎を追う男さまありがとうございます。
ロウは正確に言うと金属の削りくずですね。たぶん元はハンダのような溶接棒です。指輪では少量でいいのでこういう風に削ったんだと思います。
こういうことを小学生時分に習っていたら、きっと将来の選択肢が広がりますよね。学校も理屈ではなく技を教えて欲しいです。そうすればもっと真剣に勉強したのに・・・。
レーザー加工は私の専門で・・・した。
今はデータからプログラムを起こすのでCADで図面を描いていけばもっと安くやってくれるはずです。
TDR250(TZR250のエンジンを積んだスクランブラー。50馬力版がそっちにも輸出されてました)のホイールは巨大なフローティングディスクが付くのでスポークホイール化にはいいと思いますよ。

by MHR (2009-12-04 00:32) 

二兎を追う男

>TDR250

なるほど、そういう手もありましたか。
このバイク自体、知りませんでした。
部品流用ではなくて、そのものに乗ってみたいです。(笑)
eBayで検索しましたが、バイクそのものも、部品もほとんど出ていなかったので、あまりこちらでは売れなかったんですかね。
仕様は、今Googleしたら、18インチホイールに、4ポットの対抗ピストンキャリパーなんですね。
ディスク径が320mmもあるから、スポークと干渉しないのでしょうか?

今回の改造はCB750Kです。なので、知り合いのバイク屋さんに相談して、XS650、SR500系のフロントフォ-クから下をすべて流用することにしました。
FZR400は282mmのディスクなので、対抗ピストンキャリパーは、スポークと干渉しそうなので諦めて、GSX750Fカタナの片押し2ポットになりました。

次はキャリパーマウントプレートの工作です。


by 二兎を追う男 (2009-12-04 02:54) 

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