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約20年車庫に鎮座したままだったAW11 MR2スーパーチャージャーとお別れ準備。その8 MR2こそこそ話 [車、バイク]

私はこのMR2の量産車が立ち上がった頃にはMR2のサービスマニュアルの図面を書く会社にいました。弟も内装部品の設計に関わってます。なのに、NAエンジンを積んだ初期型のMR2を買って、その部品取りとしてこのS/Cを20年も持っていても、実はこの車に特別な思い入れはありません。というか、車自体に思い入れがありません。単純にメカニズムに興味があって、当時自分の書いた図の載ったサービスマニュアルや新型車解説書と比較してみたかっただけという側面もあります。なにしろ、今まで自分が欲しくて買ったのは全所有車11台のうち、初期型MR2とハイラックス4WDとハイゼットバン4WD(でもこれは積雪という切羽詰まった状況に対応できる車が欲しかっただけ)の3台だけで、このS/Cも含め他の車はすべて人のお下がりですから。というか、そもそもずっとバイク漬けで車で一人でドライブするという文化を持ってません。欲しくて買った3台もほぼ100%通勤用でしたし。


ということで、今回はまだ写真を撮ってなかった部分の解説を。


まず先回、バッテリーを交換するためには、つまりバッテリーを外して充電したい場合には、インタークーラーを外さないといけない、と書いたのですが、今回はなぜ外す必要があるか詳細を説明します。


NA(加給なし)エンジンのMR2もバッテリーはミッションの上、エンジンルームの左上にありますが、当然インタークーラーはありません。バッテリーむき出しです。そしてその後方にはエアクリーナーケースがあります。で、S/C(スーパーチャージャー)は圧縮した空気の温度を下げるための空冷式インタークーラーの置き場を、バッテリーとリアトランクの間のその空間に求めました。通常ならブラケットでインタークーラーを固定するのですが、この車、部品数を減らすためかちょっとおかしな留め方がされてます。


その前に、加給された空気がどういう経路でエンジンに押し込まれるのかを見てみましょう。


IMGP0040.jpg

ウイングの着いたトランクを開けると


IMGP0089.jpg

これは正規の位置から外されてますが、トランク内のこの位置にエアクリーナーケースがあります。NAではエアクリーナーはエンジンルーム内にありましたが、S/Cではそこにインタークーラーがあるためエアクリーナーケースを置く場所がなくてエンジンルームの外に追いやられ、トランクの左側を占拠してます。おかげでNAのようにゴルフバッグが2個入らないです。


IMGP0090.jpg

ボードをめくるとこんなダクトが。エアクリーナーを通った空気はこのパイプに入りエンジンルームへ。


IMGP0121.jpg

その先はこの写真の右下(この向こうが上の写真のダクト)から真ん中のエアフローメーターで計量されてエンジンルームの真ん中方向へ。(写真上がトランク)


IMGP0093.jpg

エアフローメーターを通った空気は、矢印の2本パイプの真ん中を通っているパイプを通ってスロットルボディを経由して、エンジン下方にあるスーパーチャージャーユニットへ送られます。


IMGP0094.jpg

この写真の右のパイプです。


IMGP6974.jpg

その先にはプーリーの付いたスーパーチャージャーユニットが。奥がウォーターポンププーリー。本来2個のプーリー間にはベルトが掛かってます。


IMGP0100.jpg

車両下側から。マフラーの上、右のドライブシャフトの後ろにスーパーチャージャーが見えてます。


IMGP0102.jpg

ここで負圧で吸い込まれた空気が圧縮され、右のダクトで高圧の空気が再びエンジン上へ送られます。この時点で負圧から正圧になった空気は圧縮熱で高温になっています。


IMGP0093.jpg

その先が右の矢印のパイプ。


IMGP0123.jpg

このパイプにこのようにインタークーラーが接続されて


IMGP0042.jpg

インタークーラーを通った圧縮された空気はエンジンフードの穴から走行負圧で吸い込まれた外気で冷却され、2枚上の写真の左の矢印のパイプからエンジンに入ります。


IMGP6971.jpg

エンジンフードはFRP製でこっちのルーバーはダミーです。


IMGP6970.jpg

左側だけスリットがあり、走行時にエンジンルームに発生する負圧でここから冷却用の空気が吸い込まれます。あるいは速度によってはリアウィンドウの後方に負圧が発生して、エンジンルームからこちらへ空気が吹き出してインタークーラーを冷却します。


さて、それでは本題です。なぜバッテリーを外すためにインタークーラーを外す必要があるのか。そしてなぜ外しっぱなしになっていたのか。外したままだとパイプにゴミが入ったりして危険なのに。(一応ウェスで塞いでますけどね)


IMGP0116.jpg

これがバッテリーの置き場です。丸い穴が開いてますね。


IMGP0117.jpg

この穴にバッテリートレイの底の突起を差し込んで位置決めします。なぜバッテリーに位置決めが必要なのか。


IMGP0118.jpg

バッテリーを載せます。


IMGP0119.jpg

固定用の蓋をかぶせてフックボルトで車体に固定します。ここまでは普通の車と変わりません。が。


IMGP0121.jpg

ここはエンジンルーム後方の左隅で上がトランクとの境の壁。インタークーラーの受けはボディ側のこの2箇所と


IMGP0122.jpg

ふざけてるとしか思えませんが、バッテリー抑えのこの2箇所なんです。


IMGP0123.jpg

インタークーラーはその4箇所に載せてあり


IMGP0124.jpg

後方2箇所を車体へボルト留め。


IMGP0125.jpg

IMGP0126.jpg

そして前方2箇所はバッテリー押さえへボルト留め。これの何がおかしいかというと、バッテリー積まないとインタークーラーが固定できないのです。つまりバッテリーの筐体を足に使ってるということでして。なので動かす予定のないこの車にバッテリーを積む予定がなく、その結果インタークーラーをつけることができなかったわけです。

ということで気力が尽きたので今日はここまで。


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月光仮面

管理人様。ご無沙汰してます。AW11のインタークーラー
位置そんな状態なのですね。当初設計にない装備の追加で
当時の設計者の苦労がしのばれます。大抵そんな設計変更
(今回は追加)は駆け出しの若手がやることになったので
しょうけど。インタークーラーってもっと空気が流れる
所に置かないと効果は??と心配してしまいます。エンジン
ボンネットの外に抜けるエアを利用しているのかと思い
ますがたしかにバッテリーのメンテナンス時は大変です
ねぇ~

by 月光仮面 (2020-11-08 15:13) 

MHR

月光仮面さんありがとうございます。
インタークーラーの位置はラジエターの下あたりが良いのでしょうが、MR2の場合エンジンから一番遠い位置となるためどうしようもないです。カウンタックみたいにエンジン横に置いてエアダクトで冷やせればいいんですが、5ナンバーですからねえ。今日もみんなで「トヨタらしくない固定方法だね」ということで意見が一致しました。曰く「三菱かよ」だそうです。
by MHR (2020-11-08 22:05) 

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