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会社の同僚から買ったGSXR250RK、最初の整備記録+α [89'SUZUKI GSXR250RK]

*以下の記事は過去にホームページに書いたものの再掲です。文章がちょっと変ですが20年以上前のものですのでご容赦を。当時はまだ車庫がなく、家の中に入れてました。ちなみにこのバイク、会社の同僚が買ったはいいけど一度だけ乗ってあまりの乗りにくさに手を焼き(何しろパワーバンドが8000回転以上だし)引き取ってくれと言ってきたものです。その同僚は翌年自殺しちゃったので遺品となりました。(2021年2月26日記)


1997年10月14日

ここ愛知県の山村、下山村に引っ越してから2ヶ月が過ぎ、やっと家の中が片づいてきた。今週は残業もないので(こんなことは2年ぶりである)玄関につっこんである薄汚れたGSXR250Rが、急に目に付くようになってきた。なんせこれまで夜中の2時3時の帰宅は当たり前、朝の7時に出勤、土日の休みも運次第という、とても人間らしくない生活をしてきたのだ。雪が解け、梅が咲き、菜の花、桜、ツツジなんかが咲くところも見ずに死んでゆくのはごめんだと、このいなかの茅葺き農家へと移り住んだのだが、結局生活が変わらない限りどうにもならないことを思い知らされただけである。しかし今月いっぱいは、どうやらこの生活が続けられそうなので、2年ぶりにバイクをいじることにした。DUCATIとかBMWを期待してた人、ごめんなさい。早急に通勤バイクが必要なので、最小限の整備ですみそうな、GSXRが今回の患者です。


現況報告

バッテリーが完全にあがってて、うんともすんとも言わない。

前からエンジンの掛かりが悪く、アイドリングしなかった。

Fディスクがさびだらけ。ステンじゃなさそうだ。だから効くのね。

ゴム類(特に燃料ホース)が硬化してて要交換。

一度盗難にあっているため、メインキーが回らずステアリングロックがはずせない。よって移動もままならない。

薄汚い。まだ3600KMしか走ってないとはとても思えない。


整備手順

で、とりあえず分解から始めよう。まず、ステアリングロックを解除しなくっちゃ。スペアキーを差し、プライヤーでぐりぐりしてるうちに急にメインキーが回るようになって、下半身不随から解放された。スペアキーはひん曲がってしまったけど。これで前輪の向きが自由になったので、カウリングがはずせそうだ。(前輪が動かないと工具が入らないところがあるのだ。)

次にカウリングをはずそう。サイドカバーから。とにかく目に付くねじをぜんぶはずす。どうやら左右一体らしい。左右を分離する方法がわからないので、テールライトごと完全に一体ではずした。もうすでに挫折しそうである。まるでスクーターだ(スクーターのプラグを変えたことがある人ならわかってくれるでしょ)。次にアンダーカウル、センターカウルの順にはずした。なんでこんなにねじが多いんだ。DUCATIをみならえっ。カウルなんかかろうじてとまっているだけだぞ(そんなもんみならってどうする)。

うをー。なんて美しいエンジンなんだ。まるで1100の油冷エンジンだ。これを隠すなんてもったいないので、カウルはつけないことにした。

次にキーを使いタンデムシートをはずすとワイヤーがあるのでひっぱってみる。ぼこっと言う音がして、メインシートがはずれた。うーん芸が細かい。シート下にバッテリーが半分だけ、そう、半分だけ見える。あとはタンクの下である。つまりはずれないということだ。感心して損した。

しぶしぶタンクを止めているブラケットをはずし、タンクの後ろを持ち上げ、燃料ホースと負圧コックのホースをはずす。か・固い。完全に硬化してやがる。手じゃはずれそうもないので、ニッパーでちょん切る。どうせ交換だ。

ずるずるとブリーザーホースをひきずりながらタンクをはずすとやっとバッテリーが全部見えた。で、はずそうとしたら真上にエアクリーナーの吸気ファンネルがつきだしてやがる。結局ファンネルをはずしてやっとバッテリーがはずれたので充電。完全放電してるので生き返らないかも。MFバッテリーは高いだろうなー。

ここまでやったので、タンク下の空間にどおんと鎮座してるエアクリーナーケースもはずそう。これをはずせばキャブレターとご対面である。キャブに固定してあるバンドをゆるめケースの両側の2本のボルトをはずしケースを上へ引っこ抜く。上へ。そうかダウンドラフトなのだ。

これでキャブがむきだしになったので、しばらくながめる。そうかあ。これがフラットバルブかあ。なんせ古いバイクしか乗ったことがないので、キャブはみんな円筒形のバルブだった。四角いバルブがすごいハイテクにみえてしまう。

十分堪能した後、それぞれのピストンを手で動かすと1番と4番が張りついてて動かない。強引に動かしたが、少し渋い。これがエンジン不調の原因だろう。これじゃ両側の2気筒に十分な燃料がいかないはずだ。

その奥に見えるのは・・プラグか、これ。どうやってはずすんだ、こんなの。ここまで分解してやっとみえたんだぜ。あぜんとしたまま、今度は前に回る。

おおっ、サイクロンマフラーだあ。SUZUKI製だけどどうみても吉村のデュプレックスサイクロンそのもの。金がかかっているぞこれ。

ほとんどアルミのフレーム、トキコの対向ピストンのキャリパー、ぶっといアルミスイングアーム。このままレースにでられるぞ。これってビモータあたりが作ったら、200万円ぐらいなるんじゃないか。これが不人気で下取り3万円なんて。なにかまちがってる。とかなんとかいいながら、とりあえず満足したので今日はここまでにしとこう。このページも書かなきゃいかんし。

10月16日

今日も玄関を入るなり、靴もぬがんとキャブをはずし始めた。前にレースにもでれそうだと書いたが前言撤回。キャブをはずそうにも工具が入らない。

GSX-R1100の時も苦労したがエンジンがでかいだけに手も入りやすかった。こいつは違う。キャブとエンジンとを連結しているインシュレーターの、バンドを固定しているねじの頭が、となりのキャブとの間にある。つまりドライバーが入らないのだ。どうやって組み付けたのか想像できない。プラスのねじの頭ととなりのキャブとの間は10mmほどしかない。どんな工具もはいらんぞ。

結局力技で行くことにした。強引に引っ張ってはずしたのである。結局これが正解だったようだ。入れるときも強引に押しこんだんだろう。次回のためにねじの頭を全部下に向けた。キャブが上に向かってセットされているのでキャブの下には十分な空間があるのだ。ここから上に向かってドライバーを構えればねじを締めることができる。

さて、はずしたキャブだがごらんのように2番目のキャブだけ汚れている。このキャブがあやしい。でも、今日は手を出さないことにした。最近、4気筒やったことないから、ちょっとこわい。DUCATIもBMWもシンプルなキャブ、つかってるもんなあ。キャブ1個の部品点数が倍ぐらいありそう。しかも2セット多いしね。


gsx250.jpg

キャブなき後のクランクケースの上部。エンジンを真上から見ている。両側の白い部分はエンジンを完全に抱き込んでいるアルミツインチューブフレーム。インテークには未使用のティッシュが詰めてある(別に使用済みでもよいのだが)。左下にセルモーターが見える。左上の四角い箱はキャブの背圧を逃がすためのエアクリーナー。


cab2.jpg

はずしたミクニの負圧式フラットバルブキャブ。2番だけが汚れている。ガソリンが漏れているようだ。それにしても高価そうなキャブだ。きっと、このキャブだけでこのバイクの購入価格を超えてるんだよなあ。

10月22日

やっぱりバッテリーは死んじまってるみたいだ。ホーンがたよりない。セルを回してみたいが、エンジンにティッシュを吸い込ませるだけなので思いとどまり、とりあえずキャブをばらすことにした。しかし本日発売の少年サンデーとマガジンがまだ読まないままそこにある。先週の続きが気になって分解に失敗したらいやなので、漫画を読んでからにしよう。(この後約2時間、時を忘れた。)

さあ分解だ。・・・。フロート室のねじがなめてる。そういや、一度店に出してキャブのオーバーホールやってもらったって言ってたっけ。いやあ、いい仕事してるわあ。ちゃんとショックドライバーではずしゃ、これほどひどくならんぞ。結局ねじをはずすのに2時間かかってしまった。でもばらして正解。汚れてた2番が1番きれいでした。原因はそのとなり。1番キャブと3番キャブ。中が接着剤のようなものでぐちゃぐちゃしてて、すべての穴が詰まってた。2番のキャブが汚れてたのは、オーバーフローパイプがちゃんと働いていたからで、汚れていないキャブの方が異常だったわけ。(写真)

今回洗浄に使ったのはWAKOSのキャブレタークリーナー。これはおすすめ。吹き付けるそばから汚れがとけていく。ただあまりにも強力で、ちかくにあった発砲スチロールがあっというまにとけてしまった。樹脂部品に影響ありそうだ。


cab1.jpg

フロート室にこびりついたガソリンの不純物。中央のパイプが外とつながるオーバーフローパイプ。ここから大気圧をフロート室へ導く。非常に重要な部分。ここが詰まるとガソリンがエンジンの中へ吸いこまれなくなる。キャブを取り付けるとき、よくここへつながるゴムパイプをどこかにはさんで、エンジンが吹けなくなることもある。


cab12.jpg

ダウンドラフトにあわせて、斜めについているメインジェット、スロージェット。すごくかっこいいと思うのは俺だけか。(ラピュタのロボットかナウシカのガンシップにみえてしまう)


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フロートバルブと一体成形されたフロート。左上の金網部分がキャブの穴にささり、タンクからガソリンが送られてくる。


cab4.jpg

フロート室を下から見たもの。まんなかの筒が上の写真のオーバーフローパイプにつながっている。4個中2個のキャブが詰まっていた。普通はキャブの横にあり、ゴムパイプがささっていてキャブの中を大気圧に保つ。

10月26日

日曜日だ。GSXを組み付けたいが、まず草刈りだ 。ここ数日続いた夏のような陽気は去り、冬の気配が歩み寄ってきた。風が冷たい。この元農家は庭が100坪近くあり、油断してると、ジャングルと化す。キャブをはずしたまんまのGSXを横目で見ながら、エンジン式の刈り払い機ですすきだの、訳の分からん草だのを切り払う。(とても手で刈れる面積ではない。)で、見つけてしまった。裏山との境目にハート型の葉っぱを。やまいもである。それから2時間、スコップがなかったので、クロームバナジウム製のマイナスドライバーで深さ30センチほどの大穴をあけ、15センチぐらいの山芋を手に入れた。これで晩飯のおかずが一品ふえたのである。田舎暮らしはたのしい。(つらいこともあるけれど)

さて、GSXのキャブだが忘れてたわけではない。豊田の南海部品へ行きフューエルホースを仕入れてきた。バキュームコック用と燃料用の2種類だ。これで明日組みつけにかかろう。

11月9日

明日が半月になってしまった。今玄関の中に入れて整備してるんだけど、気温が10度を切っている。さすがに山里。寒くなるのが早い。で、夜にやろうとしても、体が嫌がっている。とりあえず組み付けたが案の定バッテリーがへたっているので、セルを10秒ぐらいまわすのがやっとだし。負圧のコックを使っているため、10秒ぐらいじゃ燃料がキャブまでこないのだ。困ったもんである。バッテリーを新品にすればすむことだが、今バッテリーを買うと正月を迎えることができなくなりそうで、躊躇している。とりあえずバッテリー代がでるまでお休みするしかない。貧乏レストアラーのつらいところである。


・・・・とここまで書いて記事が途切れてます。この先一体どうなってしまったのか。そう20年以上放置されていました。ということで次の記事は23年後となりましたことをお詫び申し上げます。


さて、2019年の6月のはじめにGSXRの部品を捜索していて、長らく行方不明だったこのタンクマウントを見つけたのですが。なんじゃこりゃ。


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ビニール袋に水が入っていてえらいことになっていました。


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いっしょにボルトとゴムブッシュも入っていたのでこんな悲惨なことに。どうやらステンワッシャーが使ってあったため電蝕で錆が広がったようです。こんなの見たら安易にステンレスボルト使えませんねー。(水が電蝕の原因なので雨天走らないバイクなら良さそうですが。)


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電蝕すげー。ボルトとワッシャーが溶接されて、ネジは山がなくなり半分の太さに。


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ゴムブッシュは形こそ無事ですがサビが張り付いてました。


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もうだめかと思いましたがここは魔法の錆取り剤「サンポール」を頼ってみましょう。


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ブラシで擦ってもこんな状態。だめかー。


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1日漬け置き。あれ?


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あ、使えそう。


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ブラシで擦ると、虫食いはどうしようもないですがサビは結構取れてます。


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更に鉄のワイヤーブラシでガシガシ擦ったらこれぐらいに。サンポールすげーなー。

水で洗ってドライヤーで乾かしましたが眼の前でみるみる錆びていきます。CRC吹いとこうかとも思いましたが塗装しましょ。ちなみにサンポールですがコンクリートにこぼすと、エイリアンのよだれが宇宙船の床を貫通するがごとく、シュワシュワいいながら溶けて穴が空きますので扱いに注意しましょう。こぼしたら即水で洗い流すこと。(当然実体験)アルミやメッキも溶けるからねー。


IMGP1294.jpg

IMGP1293.jpg

シャーシーブラックを塗って完成。「GSXR250Rの部品箱」にしまいました。腐ったボルトの代わりに錆びないステンレスボルトを買ってこなくちゃ。(おい!)


ということで23年後に書いた次の記事でした。明日はいよいよ最新の記事へ。


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