読まなきゃ損する（かもしれない）漫画たち その２

岡崎二郎　「ファミリーペットＳＵＮちゃん」　ビッグコミックス　２００３年６月初版　現在２号まで（ひょっとして完結？）

岡崎二郎さんの描く、色気のない女の子が大好きです。

この漫画も一応主人公はサンショウウオのサンちゃんなんですが、飼い主？の霜月里子ちゃん（高校生）がすごくいいのです。

「友達なんか勉強してるだけでいいんだもんなあ、うらやましい・・・・」

里子の家は床屋さんで、床屋を引退したおじいちゃんと、リフォームしてローンを抱えた床屋を切り盛りする両親、腕白な双子の妹の面倒やおさんどん（食事のお世話）をまかせられて、いつもいらいら、ぴりぴりしています。自分の時間を持てず、彼氏もいないので性格も凶暴になりつつあります。

そんなときに小さな妹たちが拾ってきた特別天然記念物、オオサンショウウオのサンちゃん。彼は四国生まれでおよそ１００歳。日本中をうろうろしてここで力尽きていたのでした。

大型犬ぐらいのサンちゃんは言葉をしゃべり、あっというまに霜月家になじんでしまいます。でも失敗ばかりで里子に毎日蹴っ飛ばされますが、おかげで里子はストレスがだんだんなくなっていって、ぎすぎすしていた霜月家（というより里子の気持ち・・・どうしてわたしだけが・・ってやつ。）も徐々に徐々に雪解けしていき・・・。

とここまで書くとただのファミリードラマのようですが、そこは岡崎ワールド。実は、ほかの作品と共通のテーマである環境破壊のことを、サンちゃんの目を通して、すごくわかりやすく教えてくれます。

 

環境云々とは関係ありませんが、とっても感動したサンちゃんの名せりふがあります。

サンちゃんが仲を取り持ってできた彼氏、橋爪クンとプールに行ったときに、家族に対する「やさしさ」をほめられた里子ちゃん。思わず逃げ込んだトイレで「はずかしー、でも。うれしい」としゃがみこんでしまった彼女を見てサンちゃんがつぶやいた一言。

「若いっていいよなあ、落ち込んだり舞い上がったり、いつもパワー全開だもんな」

なぜ女子トイレにサンちゃんは入れるのか。特別天然記念物だから。

ギャグ漫画かと思ったら、読み終わったら涙を拭かなくちゃならない。

そんな漫画です。２巻が２００６年発行なので書店で手に入るかどうか微妙な位置にあるコミックス。まずは漫画喫茶で。

アマゾンではかろうじて扱ってました。

タグ：岡崎二郎

読まなきゃ損する（かもしれない）漫画たち その一

失業している身ですので、以前のように新品のコミックスを１日４冊購入！なんてことはできなくなりましたので、ブックオフのお世話になることが多くなりました。

ただ、ブックオフで購入しても作者のほうにお金が入りませんので、応援したい作家の本は食うものを切り詰めても新品で購入します。（新品のコミックス１冊あたりで１０円ぐらいしか作家に入りません。５万冊売れても５０万円。これでは食っていけないでしょう。当然中古品が売れても作家には１円も入りません）

ここではそのような、食費を削ってでも購入してよかった、と思えた本を紹介したいと思います。

さて、栄えある第一冊目は。

高瀬理恵　「表具屋夫婦事件帳」　ビッグコミックス　２００９年３月４日初版

京都の町屋で、掛け軸の表装やふすまの修理などを生業としている、斎之介とお千香の夫婦。

腕がよく、周りの信頼の厚いこの夫婦、実は元公家のお姫様と、その家を守る凄腕の侍だったという、とってもわけありの夫婦でして。

一言で言うと、何にでも首を突っ込まないと気のすまないお千香と、その尻に完全に引かれている、一見無愛想でとっつきにくい斎之介が夫婦まとめて事件に巻き込まれる（というか首を突っ込む嫁にいやおうなしに事件に引きずり込まれる旦那）という、時代劇の王道を行く物語です。

ただ、このお話、実は本編がありまして、最近はやりのスピンオフ作品なのであります。

こちらが本編。「公家侍秘録」　ビッグコミックス　１巻の初版は２０００年４月、現在６巻まで刊行。

江戸時代の京都。「守」と呼ばれる公家の家宝を代々守る侍がいました。

貧乏公家「日野西家」に使える青侍、天野守武は、くそ真面目で腕の立つ侍ですが、日野西家のわがままお姫様、薫子に振り回されながらも、家の屋台骨を支えるため今日もアルバイトに精を出す毎日。

こちらも周囲で起こる事件に首を突っ込まざるを得ない状況に陥り、それを解決していく痛快な物語ですが、こちらの事件はどちらかというと、公家と侍のしがらみから起こる大きな事件がメインです。

高瀬さんは時代劇専門のようで、公家や侍の言葉遣いや生活風景に、よくもここまで調べたものだと感心します。

時代劇が好きな方は一度ごらんを。（漫画喫茶でチラッと読んで、気に入ったら全巻大人買い！）

タグ：高瀬理恵 公家