読まないと損をするかも知れない本たち 「コンシェルジュ」最終巻 いしぜきひでゆき原作 藤栄道彦画 バンチコミックス [お勧め本]
コミックバンチでの連載開始から読んでいて、妙に気に入ってしまったこの物語。
一言で言ってしまえば川口涼子というひとりの新米のホテル従業員の成長記なんですが、わたしにとって仕事に対するスタンスの教科書となりました。
のちに数々の奇跡を起こす彼女ですが、奇跡は努力の積み重ねから生まれます。
みなさんも今の仕事が嫌になったとき、これを読めば「もうちょっと頑張ってみようかな、もっと自分はやれるんじゃないかな?」と思えるかも。
ホテルを舞台にしたお話は石ノ森章太郎さんの「ホテル」が先輩ですが、えらくリアルなあっちと違い、こちらは少々おとぎ話の成分が散りばめられています。
残念ながら掲載誌であるコミックバンチが休刊となってしまい、急遽終わらせてしまった形になってしまいましたが、コミック化のために書き下ろされた最終話の最後のエピソードなんか、読者の誰もが想像しなかったであろうハッピーエンド!
でも、漫画はこうでなくっちゃ。
そう、物語はすべからくハッピーエンドで終わって欲しいのですよー。作者の皆様!
ちなみに、この21巻には今まで見たこともない女性2人が会話する、まったく訳のわからないページが1ページあります。1巻から見なおして、この2人が誰だったか探してみたのですが、このページで初めて登場し、あとの説明もなく1ページだけで終わってます。どういうことなのか全くわからなかったのですが、他の方のブログで、この物語の新作が場所を移して始まるようで、そこの登場人物がちらっと出てきているようです。ちゃんと説明しといてよー。
読まないと損するかもしれない本たち Ark Performance 「蒼き鋼のアルペジオ」 ヤングキングコミックス [お勧め本]
今一番面白いと思っている雑誌「ヤングキングアワーズ」。
その中でもイチオシが、この表紙になっている、アークパフォーマンス(3人の合作だそうです)作、「蒼き鋼のアルペジオ」です。
読まないと損するかもしれない本たち 浜田よしかづ 「つぐもも」 コミックハイアクションコミックス [お勧め本]
子供の頃から漫画家になりたかった。
でもそんな夢、プロの漫画家のお仕事を見ると粉々に打ち砕かれます。
たぶん史上初だと思いますが、ニコニコ動画に、デジタルマンガ作成ソフトであるコミックスタジオを使って描かれた、この表紙の作画風景の全行程をリアルタイムで記録してあります。
作者さんはイラストレーター出身とのこと。下書きの線一本に対する執念ときたら・・。
ていうか、下書きの時点で下手な漫画家の完成原稿よりすごいのでは?ペン入れしてるのかとおもったら下書きの下書きだったり。
32倍速で再生時間が1時間・・・・・。って、32時間????(約26時間だそうです)。
あっしには無理です。この動画、一体何人の漫画家の卵たちに夢を諦めさせたのでしょう。
(再生を押してから右下に表示されるボタンを押すと画面に流れるコメントが表示されなくなります。)
はああああああああ。
読まないと損するかもしれない本たち 大石まさる 水惑星年代記 少年画報社ヤングキングコミックス [お勧め本]
雨の日には本を読もう 「タイムリープ 」高畑京一郎 2巻完結 [お勧め本]
私は活字中毒、漫画中毒で、トイレの中でさえ何かしら本を手にしないとでるものも出ません。しかし、その時手にしたのが小説だったりしたら。しかも面白かったら。
気がついたら4時間過ぎていたりします。トイレの中で。
「タイム・リープ・・あしたはきのう・・」 高畑京一郎 電撃文庫 1997年刊 全2巻
最初は時をかける少女の焼き直しだと思っていました。読んでみたらこれが面白い。
いわゆるタイムスリップ物なのですが、最初のページからぐんぐん引き込まれます。
高校生の女の子、鹿島翔香が気が付くと、唇を誰かの唇がふさいでます。
クラスメイトだけど、恋人でもなんでもない男の部屋。
なぜここに?どうしてこの人とキスを?
彼女にはまったく記憶がありません。
その瞬間から始まる、彼女の意思と無関係にジグゾーパズルのように彼女の記憶を埋めていく、場所を移動しない時間跳躍。
なぜ彼女は1週間の中をランダムに、しかも小刻みに時間跳躍を?
舞台は彼女の家とクラスメイトの部屋、学校と、ごく近所のみ。
しかも1週間だけの物語です。
事件解決のため、数学の一夜漬けをし、ありったけのクッションを集め、初歩の護身術を練習し、彼女は跳躍の時を待ちます。
そして迎える最後の跳躍。そこに待っていたのは身の毛もよだつような出来事でした。
よくもまあ、こんな限定された設定でこんな面白い物語ができるんでしょう。
上下2巻を4時間で読みきったあと、残ったさわやかな読後感。衣谷遊氏のイラストもすばらしいっす。
タイムスリップ物としてハインラインの「夏への扉」、高橋留美子の「ファイヤートリッパー」、に続く私のお気に入りとなりました。
すでに廃刊らしく本屋にはもうありませんが、ブックオフなどで探してください。アマゾンに上巻のみあります。
雨の日には本を読もう 十二国記 [お勧め本]
シリーズ物で、終わってないのに書き手が逝去されて、もう決して続きが読めない物語があります。
私の青春時代の作品、ハヤカワの「銀河乞食軍団」(野田昌宏:ただ続きを別の人が引き継ぎ書いてらっしゃる模様)
最近ですとアニメが放映中に突然の訃報を知らされた「グインサーガ」(栗本薫)
でも作者が健在で、読者が次巻に期待していてもなかなか続きが出ないものも。
(以下、以前ホームページで紹介したもののリサイクルです)
「十二国記」小野不由美 講談社ホワイトハート文庫他 未完 月の影影の海(上巻)というこの壮大な物語の最初の1巻は、この放り込まれた荒れ果てた世界に信頼できる人もなく、道徳心が強いため盗みもできない陽子が、空腹や傷の痛みに耐えながら妖魔と戦い、悲惨なほどやせ衰えていくところで終わります。 このときのせりふが秀逸 「ダイエットなんかしていたのがばかみたい。」
下巻最後の陽子の成長ぶりに拍手!もし舞台だったらカーテンコールが鳴り止まないでしょう! きっかけは数年前にNHKでまとめて放映されたアニメ「十二国記」。一目ぼれです。(ただし原作とはかなり違いますが) 原作があることを知り本屋へ直行し、全巻を購入。
アニメでは、態度のでかい、意地の悪そうな12歳(実はプラス90歳ですが)の恭国王として描かれている珠晶(しゅしょう)が王になるまでの経緯を事細かに書いた冒険譚です。 妖魔が闊歩し、作物が採れず、生きる気力をなくした恭国の民達。主人公の珠晶はお金持ちの家に生まれたため恵まれた生活をしています。しかし、そんな生活に満足せず、国がここまで荒廃した責任を取らない大人たちにあいそをつかせ、自らが王になる決心をし、27年間も王がたたずにすさみきってしまった社会に敢然と立ち向かった、この少し生意気な、正義感の強い12歳の少女の物語は当時48歳の私をぶちのめしました。(十二国記の世界では王がいないと国がすさんでいくというルールが有ります。王になる条件はたった一つ。妖魔たちと戦いある場所にたどり着くこと。子供の珠晶は体力のなさを頭でカバーしていきます。) この物語を思春期に読んでいたら、真剣にこの社会を何とかしようと思ったでしょう。それだけのパワーを持った物語であり、主人公でした。
もしちびちび読むのでしたら必ず下の順番で読んでください。伏線だらけです。順番間違えると感動が薄れるかも。
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以上5年前にかいた感想文でした。
ネットで調べても、十二国記は作者の意思で「もう続刊はでない」と噂されています。
でも読者は待ってますよー。続きをお願いします。不由美様。
これがプロの記事? 週刊文春、青木るえかのテレビ健康診断。素人の文章じゃん。 [お勧め本]
今日発売の週刊文春。
母が好きでずっと購入してるんですが、その中の記事「青木るえかのテレビ健康診断」って記事を読んでぶっ飛んでしまいました。
今週のテーマは「マイガール」。相場君が主演しているドラマなんですが、今回の内容は卒倒しそうな文章でした。(まあ、いつものやつもひどい内容ですが、今回はさらにひどい)
抜粋しますと。
「それにしても都合のいいストーリーだなっと思ったら、これ人気少女マンガのドラマ化だそうだ。」
だそうだって、あのー、これってコミックバンチっていう青年誌に載ってるんですが・・・。こんな大量発行部数を誇る文春の記事を書くのに調べもしてないんかい。一体誰に聞いたの???
さらに抜粋
「主人公の男は優しくて才能があって顔もよくて非の打ち所がない。そういう人間も探せば云々。*中略*漫画の世界を現実に表現しようとするとこういう風になっちゃうのか」
あのー、このドラマのストーリーやキャラクター原作とぜんぜん違うんですが・・・。ドラマでは主人公は才能のあるカメラマンになってますが、原作では普通のだめだめサラリーマンです。ドラマの都合上設定が変わっているのですが、私は原作のファンで、このドラマは正視できませんでした。だから、原作を知った上でこういう評価をしたのだとばかり。危うく同意しそうになったのに。しかし読み進めていくと何の調査もなく、ただ口から垂れ流しているだけだと言うことに驚いてます。こんなので原稿料もらえるの?文春って?
あーもう、腹が立ったので書いてしまいました。青木るえか本人のブログがあったら、いやみをたらたら書き込もうと思ったのですが・・・。
青木るえかで検索したら、この人の著書を非難するブログが一杯あって驚きました。
読まないと損するかもしれない本たち 番外編 [お勧め本]
「藤島康介画集 ああっ女神さまっ」 藤島康介 講談社
意外でした。1986年に今の月刊アフタヌーンの前身であるモーニングのパーティ増刊に掲載された「逮捕しちゃうぞ」でメジャーデビューしてから、すでに約25年もたっているのにこれが初の画集?
「ああっ女神さまっ」は1988年コミックアフタヌーン(のちの月刊アフタヌーン、当時は週刊誌のような中綴じでした)で連載を開始、その緻密な精密イラストのような絵柄でたちまち人気を博し、20年間途切れることなく、しかも緻密さに拍車をかけながら現在も月刊アフタヌーンで連載中の漫画です。
じつは私、連載開始当初から本誌で読んでいた(つまり20年間モーニング>アフタヌーンを買ってきた)筋金入りの女神スト、いや正確に言うと「逮捕しちゃうぞ」も連載当時から読んでいたので「康介スト」というべき?当然初版の単行本が本棚に並んでます。えっへん。
一口で20年と言いますが当時生まれた子供が成人してます。ですのでさすがに連載当初と比較すると絵柄が完全に変わっています。
で、この画集には連載第一話の最初のシーン(蛍一meets女神さまっ)がカラーで載っていてまして、私はこの絵が大好きでした。それを再び見ることができうれしい!(単行本でも見ることができますが当然サイズがねえ・・・)
これが第一巻初期の扉絵です。ある時期を境にがらっと絵柄が変わったので、けっこうショックでした。その時期アシスタントがやめたのかなあと思っていたことも。
この画集、大量のカラーイラストで構成されていますが、驚いたことにほとんどすべてがドクターマーチンという画材で塗られているとのこと。つまりコンピューターがまったく使われていないのです。
あの緻密な絵がアナログ・・・。改めて絵師「藤島康介」のすごさを思い知らされました。
そういえば、この人が初期型のGSX-R1100に乗っていたから、今でもうちに88’GSX-R1100が鎮座しているのでした。ちゃんちゃん。
読まなきゃ損する(かもしれない)漫画たち その四 [お勧め本]
「マイガール」 佐原ミズ バンチコミックス 3巻まで刊行
新海誠という人をご存知でしょうか。
2002年にたった一人で「ほしのこえ」というアニメを製作し、業界を震撼させた人です。気が遠くなるような緻密な風景描写を、パッパッパッと短時間で切り替えながら表現する美しいアニメは、それまでなかったものでした。
そんな美しいアニメを、これまた緻密な美しい絵でコミカライズしたのが佐原ミズさんでした。
この「マイガール」はコミックバンチで不定期連載しているものです。
主人公は23歳、冴えないめがね君で独身の笠間正宗。
「僕の一日。朝はのんびり8時におきて夕方6時まで暇な会社の机に座る」
そんな彼の元に、5年前に別れた彼女の死が知らされるところから物語は始まります。
「コハルという5歳の子供がいるの。父親はあなた。」
彼女のお葬式で母親から聞かされた衝撃の事実。
最初は信じていなかった彼も、彼女が出せずに貯めていた手紙を読んで、この子の父親になろうと決心します。
「続、僕の一日。コハルちゃんと一緒に帰って寝るまでの時間ひとつでも多く今日のことを話す。僕の新しいすごし方だ。」
5年間父親を知らなかったコハルと、5年間娘を知らなかった正宗。この二人が空白の5年を埋めながら未来に歩いていく物語。
絶対損はさせませんよー。
読まなきゃ損する(かもしれない)漫画たち その3 [お勧め本]
えー、ハチミツとクローバーのファンだった方にはいまさら紹介の必要もないと思いますので、少女漫画なんて読んだこともないおっさんにぜひ!
3月のライオン 羽海野チカ ジェッツコミックス 2巻まで刊行済み
羽海野チカさんの最新作、「3月のライオン」。
なんと青年誌での連載で、しかも「将棋」の世界を舞台にするという無謀っぷり!何が無謀かって、たいていの人が将棋の漫画というと、例の「詰むや詰まざるや?」という、将棋以外は何にも見えない方々が登場するやつしか知らないと思うのですよ。(あ、「しおんの王」があった。でもあれも殺人事件が軸となってるし)
そんな中、少女漫画家の代表みたいな方が、あの絵で描く将棋の世界って・・・。
でも読み始めるとぐんぐん引き込まれていきます。将棋の世界のすさまじさに・・・ではなく主人公のだめっぷりに。
主人公の桐山零は中学時代にプロ棋士としてデビューし、それなりの成績を残していたのですが、周りを蹴落としていかないと明日を迎えることすらできない世界で誰にもかかわらず悩みながら孤独に生きています。
そんな将棋以外何もない空っぽの日々をすごす彼は、ある日、両親を亡くし、けなげに生きている三姉妹に拾われます。
二人の妹を夜の仕事をしながら育てる長女あかり。恋に学校に大忙しの中学生の次女ひなた。まだ幼くてみんなに愛されている三女モモ。
そして零のことを生涯のライバルと決め、全力でちょっかいを出す「トトロ」似の棋士、二階堂晴信。
そんな彼らが、抱きしめたくなるほど一生懸命に零に手を差し伸べ、彼を孤独という奈落のそこから引っ張りあげる物語です。
3巻が出るのが待ち遠しいです。
この物語はきっと将棋の底辺を少しだけでも広げるでしょうね。
そういえば最近始まった「東のエデン」、この人がキャラクターデザインしてるんですねー。
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